床暖からパネルラジエータまで。高温端末でも末永く使い続けられる温水暖房用の【668ヘッダーセット】
※この記事は2019年7月23日に公開後、2020年6月5日と2020年11月2日に校正し直し再公開したものですが、関連商品を入替えて2022年10月26日に再度公開しました。
床暖からパネルラジエータまで幅広く対応する高性能。しかも現場組付けが不要で漏水リスクも回避できる。
温水暖房工事に使われるヘッダーは、ヘッダー本体に加えて、バルブ、エアベント、流量計などをそれぞれ選定して、現場で組立てていくことが一般的。しかし、現場ごとに異なるのは系統数くらいで、実はほとんどがパターン化されているため、部材の発注とヘッダーを組立てる作業が面倒だと感じていらっしゃる施工業者様が多いのではないでしょうか?
施工時間と漏水リスクを大幅に短縮する【ヘッダーセット668】
CALEFFI(カレッフィ)社の「ヘッダーセット668」は、往き戻りのヘッダーと主管バルブ、流量計、枝管用バルブ、エアベント、バイパス管、ドレンコック、固定用ブラケットがすべてセットになっていますので、発注は回路数だけ確認すればよいのです。さらに、「部品を現場で組み立てる」というのは、もはや昔の常識。組立ても通水テストも工場で実施済みだから施工時間と漏水リスクを大幅に削減できる点が、世界中で長年愛されている理由です。
現場で必要な作業は、①主管ボールバルブの向きを調整、②エアベントの接続、③バイパス管の接続ですが、いずれもシールテープやシール剤は不要でとてもカンタンです。
品番 | 回路数 | 主管 | 枝管 | L寸 |
6686C5S1 | 3 | G1” | G3/4 | 380 |
6686D5S1 | 4 | 430 | ||
6686E5S1 | 5 | 480 | ||
6686F5S1 | 6 | 530 | ||
6686G5S1 | 7 | 580 | ||
6686H5S1 | 8 | 630 | ||
6686I5S1 | 9 | 700 | ||
6686L5S1 | 10 | 750 | ||
6686M5S1 | 11 | 800 | ||
6686N5S1 | 12 | 850 | ||
6686O5S1 | 13 | 900 | ||
6686P5S1 | 14 | 950 |
回路毎1~5L/minの範囲で流量調整ができる
往き側ヘッダーには流量計付き流量調整バルブが内蔵されています。回路ごとの流量調整が必要な放熱端末が多いシステムでは、とても有効な機能です。流量調整の仕方はカンタンで、往き側ヘッダーに内蔵されている流量計を見ながら、フローメーター部をクルクル回して1~5L/minの範囲で調整してください。
①バルブ根本のキャップをマイナスドライバーなどで外します。②キャップを持ち上げ反転し、流量目盛にハメ込み回転させます。④任意の流量になったことを確認しキャップを元に戻します。
アクチュエーターをヘッダー上部に直接取付けることができる
戻り側ヘッダーに内蔵されているストップバルブは手動で開閉できますが、なんと手動ハンドルを外してアクチュエーターに取替えれば、暖房用コントローラと連動させて自動制御ができます。床暖房では必須アイテムですが、今どきの欧州ではパネルラジエータの場合でもサーモバルブで調整するよりユーザーの使い勝手が良いという理由でコントローラを組み合わせるのが一般的です。
アクチュエーターは電圧にあわせて選定
アクチュエーターとストップバルブのストローク長と合わせなければ完全止水ができません。よって、CALEFFIのヘッダーにはCALEFFIのアクチュエーターまたは互換性のあるRBMをお使いください。CALEFFIのアクチュエーターの施工方法はその他のアクチュエーターとは大違い。写真の下にあるリングをヘッダーに手締めでねじ込んだら、本体を上からパチンと音がするまで押し込むだけです。
アクチュエーター(100V仕様)
品番 | 消費電力 | コード長 | 電圧 |
116001 | 1.8W | 100cm | AC100V |
アクチュエーター(230V仕様)
品番 | 消費電力 | コード長 | 電圧 |
3060002 | 2.5W | 100cm | AC230V |
ヘッダー内の流体温度が測定できる
「ヘッダーセット668」の主管バルブにはG1/4の接続口があり、「温度計φ40(アングル型背面接続)(品番:688002)」を接続することができます。また、ゲージ部はφ40と小径で美観も損ないません。往き戻りのどちら側にも設置して、放熱状況を常に目視確認することができます。
品番 | 測定範囲 | 接続口径 |
688002 | 0~80℃ | G1/4 |
0℃~80℃の幅広い流体温度と耐久性
ヒートポンプを利用した低温水を循環させる熱源機が少しずつ増えているのは欧州も同じですが、一般的にはパネルラジエータの面積を小さくするために循環液を可能な限り高温にして流します。この「ヘッダーセット668」は、80℃までの流体温度に対応しているので熱源機を問わず使用することができます。
お手頃価格の専用継手で樹脂管との接続もカンタン
「ヘッダーセット668」とパイプの接続にて「ヘッダー継手」と呼ばれる専用の継手がラインナップされています。接続はカンタンで「ヘッダー継手」にパイプを挿入し、ヘッダーに締込むだけで、内蔵されている樹脂製圧着リングがパイプに合わせて収縮し固定します。サイズは10A・13Aの架橋ポリエチレン管、O2ストップパイプ用と10A・13Aの三層管用があります。
ヘッダー継手(樹脂管用)
品番 | 適合配管径 |
680501 | 内径9.5~10 外径12~14 |
680535 | 内径12.5~13 外径16~18 |
ヘッダー継手(三層管用)
品番 | 適合配管径 |
679514 | 内径10.1 外径14.1 |
679524 | 内径12.1 外径16.1 |
施工事例
お客様から「ヘッダーセット668」を採用した住宅の写真が届きましたのでご紹介させていただきます。
- 施工場所:青森県弘前市
- 暖房工事:株式会社弘前燃料
- 建 築:木造2階建
- 熱 源 機:密閉式ガス暖房熱源機
- 放熱端末:鉄製パネルヒーターと温水マット(エクセルソーレ55-O2)
弘前市の冬は平均最低気温-5℃という厳しい寒さですので全館暖房にしています。具体的には、1Fを全面床暖房を導入し、トイレと洗面室、そして2Fにはパネルヒーターという選定が行われました。
パネルヒーターの採用に伴い密閉配管式が選択されることになり、必然的に温水マットも酸素透過しにくい三菱ケミカルインフラテック社製「エクセルソーレ55-O2」を採用することになりました。
全館に暖房端末を設置する計画となり、必要とする回路数が多く、外気温も低いことからヘッダーを室内に設置することになりました。さらに温水マットとパネルヒーターでは必要な流量が大きく異なるため、循環液が各端末に搬送されているかいつでも見られるようにしたいというお施主様の要望を満たすために「ヘッダーセット668」を収納庫に設置しました。
まとめ
欧州の住宅は100年以上使われるのが当たり前ですから、15年程度で交換することを前提としている日本の設備とは考え方が異なります。しかし、このところ日本でも住宅の長期性能を保証しようという流れになってきました。熱源機は定期的に交換しなければなりませんが、放熱端末、ヘッダー、そして配管は一度敷設したら数十年使用できる製品を選定すべきではないでしょうか。「ヘッダーセット668」が欧州で定番である理由は、機能がオールインワンになっていることはもちろんですが、数十年にわたり使用できる耐久性なのかもしれません。「住宅の価値を高めたい」、「メンテナンス頻度を落としたい」とお考えのハウスメーカー様や設計事務所様にご提案していただきたい逸品です。
大宮彰大
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