ルームエアコンのフレアナットはトルクレンチで締め付けるのがベスト!
2分3分を使うルームエアコンこそ、トルクレンチで適切に締め付ける
施工業者様であれば、フレアナットの締め付けは強すぎても弱すぎてもNGだということはよくお分かりかと思います。しかし、現在主流のR410AやR32などの新冷媒は、R22と比べて圧力が1.5倍程度高くなっているため、経験頼りだと締め付けが足りず、フレアナットに緩みが生じる可能性が高まります。また、ルームエアコンに多く使用される2分3分の空調用の冷媒管ペアコイルは肉薄で割れやすいので、緩みを防ごうと多めに締めすぎるとオーバートルクとなり、管の破断を生じかねません。こういったトラブルを防ぐためにも、「トルクレンチ」を使った厳密なトルク管理が必要です。
新冷媒にトルクレンチが必要な理由
R22と比較した新冷媒の圧力の違いは先に述べたとおりですが、「トルクレンチ」を使うべき理由は他にもあります。まず圧力の異なるガスを混合しているR410Aは、微小な漏れであっても配管内のガス混合比率が崩れてしまうためにエアコンの効きが悪くなります。不足分のフロン充填とフレアタイトなどのフレア継手パッキンによる応急処置で運転再開はできますが、本来の能力を十分に発揮させるには全量入替が必要です。また、現在主流のR32に至っては、運搬する際に高圧ガス表示が必要となる可燃性のガスなので、冷媒ガス漏れが爆発や火災などの重大な事故につながる恐れもあります。こうしたリスクも踏まえ、エアコンメーカーの仕様書でもトルクレンチの使用を推奨しています。
新冷媒対応トルクレンチのラインナップ
ベストパーツオンラインで取り扱う「トルクレンチ」は、いずれもトルク精度±4%と高精度なプロモデルです。適正な力で対象物を締め付けることを目的とした精密工具であるからこそ、価格ではなく機能や精度で選びましょう。
TONE「モンキ形トルクレンチ(TMWMシリーズ)」
TONEの「モンキ形トルクレンチ(TMWMシリーズ)」は、ミリ・インチサイズおよび四角・異形ボルト・ナットに関係なく、必要な二面幅サイズに調整できる汎用性の高さが特長です。トルク値は柄のノブを回すことで0.5N・m刻みでの設定が可能で、グリップ部には設定値が一目で分かるメーカー独自開発の目盛表示を搭載しています。設定したトルク値に達すると「カチッ」という音または手に軽いショックを与えて締め付け完了をお知らせします。
品番 | 口径 | トルク測定範囲 | 全長 | 質量 |
TMWM60 | 10~27mm | 15~60N・m | 330mm | 460g |
TMWM115 | 17~38mm | 25~115N・m | 420mm | 740g |
Asada 「新冷媒配管用トルクレンチ(XPシリーズ)」
Asadaの「新冷媒配管用トルクレンチ(XPシリーズ)」はTONEのTMWMシリーズのようにトルク値を調節することはできませんが、新冷媒のフレアナットおよびフレア継手の標準締め付けトルクをあらかじめ設定した4モデルをラインナップしています。トルクが規定値に達するとヘッドが折れる仕組みによってトルクがリリースされた感覚がしっかり手に伝わり、締め付け不足やオーバートルクを防止します。
品番 | サイズ | 口径 | トルク | 全長 |
XP711 | 1/4″(6.35) | 17mm | 18N・m | 220mm |
XP713 | 3/8″(9.52) | 22mm | 42N・m | 230mm |
XP747 | 1/2″(12.7) | 26mm | 55N・m | 285mm |
XP776 | 5/8″(15.88) | 29mm | 75N・m | 290mm |
TONE「新冷媒配管用トルクレンチ(TSPシリーズ)」
同一トルク値でのくり返し作業に適したTONEのスパナ形単能トルクレンチ「TSPシリーズ」もラインナップしております。TMWMシリーズと同様、「カチッ」という音と手への軽いショックで締め付け完了を知らせる仕様です。
品番 | サイズ | 口径 | トルク | 全長 | 質量 |
TSP16-17 | 1/4″(6.35) | 17mm | 16N・m | 220mm | 370g |
TSP38-22 | 3/8″(9.52) | 22mm | 38N・m | 230mm | 410g |
TSP55-26 | 1/2″(12.7) | 26mm | 55N・m | 286mm | 540g |
TSP75-29 | 5/8″(15.88) | 29mm | 75N・m | 292mm | 570g |
まとめ
冷媒ガスがR22から圧力の高いR410A、R32へと変わった昨今、肉厚が薄い2分3分の冷媒管を用いるルームエアコンこそフレアナット締め付け時のトルク管理が重要です。精密工具である「トルクレンチ」は高価ですが、ユーザーの満足度に関わるうえ、重大な事故に直結しかねない作業に使用するものですから、価格よりも精度で選ぶことをおすすめします。
※この記事は 2020年10月12日に公開された内容を校正し直し2024年6月26日に再度公開しました。
鈴木 彩香
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