追い焚き配管が長くなってしまう現場で使いたいφ10架橋ポリエチレン管
2020年6月23日に公開した記事ですが、校正し直し2022年1月13日に再度公開しました。
戸建住宅なら断熱性能と柔軟性に富む「高断熱ペア架橋ポリエチレン管」
戸建住宅において追い焚き配管の距離が長くなると心配なのが沸き上げ時間が長くなる問題です。暖房配管では断熱材付きの架橋ポリエチレン管が主流になったものの、追い焚き配管はまだ樹脂系やゴム系のペアホースが主流です。ただ、一般的な木造住宅であれば、床下や壁裏を使って配管延長する追い焚き配管に断熱処理が施されていないと湯沸時間はやはり長くなります。
高断熱ペア架橋ポリエチレン管の特長
単層の架橋ポリエチレン管を大別すると「水道用のJIS K 6769適合品」と「暖房用の架橋ポリエチレン管工業会JXPA401適合品」の2つに分かれます。後者の仕様に関しては、「 90 ℃以下の水輸送用に使用する低圧用」が最も重要な要素であり、大雑把に言えば架橋ポリエチレン管は使用温度に対する最高使用圧力により分類されているのです(下表)。
本稿でご紹介させていただきます高断熱ペア架橋ポリエチレン管は、JXPA401適合品ですから、圧力がかからない追い焚き配管にも最適です。
種 類 | 0~20℃ | 21~40℃ | 41~60℃ | 61~70℃ | 71~80℃ | 81~90℃ |
JIS K 6769PN15 | 1.50MPa | 1.25MPa | 0.95MPa | 0.85MPa | 0.75MPa | 0.70MPa |
JXPA401 | 0.50MPa | 0.40MPa | 0.30MPa | 0.25MPa |
放熱ロスが少ない
給湯器が1階で浴槽が2階以上にあるケースなど、追い焚き配管が長くなればなるほど発生する「放熱ロス」。高断熱タイプなら放熱ロスをしっかり抑えてくれるので安心です。さらに金属系の配管材と比較して架橋ポリエチレン管は熱伝導率が低く、放熱スピードも緩やかですので距離の長い場合は特に有効です。
低圧損だから配管延長距離が長い
元々圧力の低い追い焚き配管は、管の圧損や配管長に大きく影響を受けます。金属系の配管材と比較して圧損が低い樹脂系の管を選定することで、配管長が長くなる場合でも安心して使用することができます。ただし、機器メーカーによっては20m以上の延長配管の場合、浴槽高さによって本体の設定変更が必要になる場合がありますのでご注意ください。
他の管種と比較して安価
追い焚きに使われる管の種類は、架橋ポリエチレン管以外に、樹脂系ホース(スマートホース)、ゴム系ホース(ハイブリッドホース)、金属系(銅管/ステンレスフレキシブル管など)に分かれます。架橋ポリエチレン管は、他の管種と比較して価格が安いため延長距離が長くなるほどメリットが大きくなります(下表)。
No. | 管種(全てペアの裸管) | 1メートル当たりの基準価格(参考) |
1 | 架橋ポリエチレン管(10A) | 392/m |
2 | スマートホース(10A) | 690/m |
3 | ステンレスフレキシブル管(φ16.0) | 670/m |
4 | 銅管(φ12.7) | 1,420/m |
5 | ハイブリッドホース(15A) | 1,265/m |
軽くて配管の取り回しや固定がしやすい
いくら性能が高くても、施工性が悪ければ取り扱いたくないというのが現場の本音です。高断熱ペア架橋ポリエチレン管は、金属系の配管材はもちろんの事、ハイブリッドホースなど他の非金属系配管材と比較しても軽量なので、持ち運びや現場での取り回しがしやすく施工性に優れています。また、専用のサドルバンドなど副資材が充実していますので、固定やユニットバス貫通についても施工性を実感していただけます。
難点は巻き癖と巻きの大きさ
架橋ポリエチレン管の欠点として「巻き癖」があります。配管曲がり部は両端や浴槽エプロン内は、確実にサドルバンドで固定しなければなりません。また、断熱材付の50mペア管ともなると巻きはそれなりに大きく、工事車輛への積み下ろしや現場での搬入搬出で苦労する可能性もあります。
熱源機から選ぶ追い焚き配管
ガス・石油熱源機には「高断熱コアチューブ」
追い焚き能力に余裕があるガスや石油の熱源機には、「高断熱エクセルパイプコア(品番:UPT-10N-I)」をオススメします。往きと戻りの管が隣接しているため熱交換は起こりますが、8㎜厚の断熱材があらかじめ巻かれているので天然ゴム系や樹脂系の追い焚き用ホースやさや管入り架橋ポリエチレン管よりも高い断熱性を有しています。また、貫通時の壁穴径がφ50で収まる点もご評価いただいております。
品番 | パイプ(φ) | 保温材 | 全長 | |||
内径 | 外径 | 厚 | ペア外径 | 外径 | ||
UPT-10N-I | 10.0 | 13.0 | 8 | 45.5 | 35 | 50m |
屋外の露出配管が長い現場は「高断熱ペアチューブ」がオススメ
屋外での露出配管が長くなるような現場には、断熱材に耐候性被覆が付与された「高断熱ペアチューブ(品番:DPT-10M-I)」がオススメです。パイプ1本に付き3㎜厚の断熱材が巻かれたうえ、更に6㎜厚の断熱材でペア配管を包んでいるため、より断熱性能が高く放熱ロスを防いでくれます。
品番 | パイプ(φ) | 外断熱材 | 全長 | |||
内径 | 外径 | 厚 | ペア外径 | 外径 | ||
DPT-10M-I | 10.0 | 13.0 | 6 | 50 | 31 | 50m |
エコキュートの場合は「エクセルペアチューブ保温材付」
エコキュートなどのヒートポンプ式熱源機には「エクセルペアチューブ保温材付(品番:XLS-13HON10W)」をオススメしております。パイプ1本に付き10㎜厚の独立した断熱材が巻いてあり、パイプどうしの熱交換がほとんどないことから戻り温度を低くできる点が特長です。また10Aモデルも用意しています。
品番 | パイプ(φ) | 保温材 | 全長 | |||
内径 | 外径 | 厚 | ペア外径 | 外径 | ||
XLS-10HON10W | 10.0 | 13.0 | 10 | 68.0 | 34.0 | 10m |
XLS-13HON10W | 13.0 | 17.0 | 10 | 76.0 | 38.0 | 10m |
まとめ
追い焚き配管の距離が長くなる現場には「高断熱ペアの架橋ポリエチレン管」をオススメしています。JXPA401規格の架橋ポリエチレン管を採用している本品の特長は、水道用架橋ポリエチレン管より柔軟性が高く、金属系配管材より熱伝導率や圧力損失が低く、保温工事も要りません。また、取り回しがしやすく、比較的お求めやすい価格設定ということも魅力です。熱源機の種類によって「高断熱エクセルパイプコア(品番:UPT-10N-I)」、「高断熱ペアチューブ(品番:DPT-10M-I)」、「エクセルペアチューブ保温材付(品番:XLS-13HON10W)」を使い分けていただくと給湯器の性能をよりよく発揮できます。
佐々木 克仁
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