給湯器の交換や配管工事で欠かせない
ステンレスロングフレキは、その加工のしやすさ、入手の容易さ、そして優れた耐腐食性で知られています。継ぎ足しや長さの調整が容易でありながらコストパフォーマンスも魅力的なこの素材、しかし最大の効果を発揮するには適切な「
ステンレスフレキ用継手」の選択が不可欠です。
接続方法は3パターン:ステンレスフレキ用継手の効果的活用法
ステンレスロングフレキの選択理由として、その長さや曲げ角度の調整自由度が挙げられます。しかし、給湯器や止水栓など、設備機器の接続口とフレキナットのねじが合わない現場もしばしば。本稿では、基本となる管用平行ねじと管用テーパーねじのめねじ同士を接続する「フレキニップル系」、おねじとめねじを接続する「変換継手系」、そしておねじ同士を接続する「アダプタ継手系」といった、ねじ種、管径、方向を柔軟に変換できるフレキ用継手をご紹介していきます。
めねじ同士を接続するフレキニップル系の継手
管用テーパめねじ(Rc)と管用平行めねじ(G)を接続する「フレキニップル」
設備機器やバルブのテーパーめねじ(Rc)を平行おねじ(G)に変換して、平行めねじ(G)のフレキナットを接続する「フレキニップル」
図1:フレキニップル
管用テーパめねじ(Rc)と異径の管用平行めねじ(G)を接続する「異径フレキ用ニップル」
機器やバルブの接続径とステンレスフレキのナット径が合わない場合に使用する「異径フレキ用ニップル」
図2:異径フレキ用ニップル
管用平行めねじ(G)同士を接続する「平行ニップル」
ステンレスフレキ同士を接続する際に便利な「平行ニップル」
図3:平行ニップル
おねじとめねじの接続に使う「変換継手系」の継手
管用テーパおねじ(R)に平行めねじ(G)を接続する「Sニップル」
設備機器やバルブの管用テーパーおねじ(R)を平行おねじ(G)に変換し、平行めねじを接続する「Sニップル」
図4:Sニップル
管用平行おねじ(G)に管用テーパめねじ(Rc)を接続する「オスメスニップル(G→R)」
平行おねじ(G)を管用テーパおねじ(R)に変換し、管用テーパめねじ(Rc)に変換する「オスメスニップル」
図5:オスメスニップル
バフ研磨してきれいに仕上げた意匠性の高い「ブッシング」
美しいメッキ仕上げが特徴の「ブッシング」。通常ブッシングとは、径の大きい方がおねじ、小さい方がめねじとされていますが、このブッシングは見える部分の意匠性を合わせるときに使用する特殊な1段変換ブッシングです。
図6:ブッシング
給湯器の接続口(R3/4)に平行めねじ(G1/2)を接続する「異径アダプタ(Gねじ)」
フレキナットにちょうどいいねじ山の少ないモデル
主に給湯器の給水給湯接続口のパッキンシール面を有する管用テーパおねじ(G3/4)に接続し、管用平行おねじ(G1/2)に1段落としてコストダウンを図る継手です。フレキナットの場合、ねじ山が少なく作業時間を短縮できるメリットがあります。
図7:異径アダプタ(Gねじ)
ねじが緩みにくい安全性の高いモデル
主に給湯器の給水給湯接続口のパッキンシール面を有する管用テーパおねじ(G3/4)に接続し、管用平行おねじ(G1/2)に1段落としてコストダウンを図る継手です。ねじ山が多く緩みにくいというメリットがあり、機器メーカーの施工基準に適合します。また、めねじ側にはパッキンの脱落を防止する溝が切られている点も魅力的です。
図8:異径アダプタ(Gねじ)
平行めねじ(G3/4)に1段落ちの平行おねじ(G1/2)を接続する「平行ブッシング」
平行めねじ(G3/4)を一段落し、平行おねじ(G1/2)を接続します。
図9:平行ブッシング
管用平行おねじ(G)とめねじ(G)を90°で接続する「片ナット付フレキ用エルボ」
一般的なモデル
交換やメンテナンスが必要な計装品や機器に袋ナットをねじ込み、反対側のGおねじにフレキナットを接続するエルボです。
図10片ナット付フレキ用エルボ
よりコンパクトに接続する「片ナット付フレキ用小曲エルボ」
交換やメンテナンスが必要な計装品や機器の平行おねじ(G)に袋ナットをねじ込み、90°に曲げてフレキナットを接続する際に使用します。
図11:片ナット付フレキ用小曲エルボ
おねじ同士を接続する「アダプタ継手系」
異なるねじ種の同径おねじ同士を接続する「メスメスアダプタ」
管用平行おねじ(G)と管用テーパおねじ(R)を接続するアダプタです。
図12:メスメスアダプタ
配管途中の管用平行おねじ(G)同士を接続する「両ナット付アダプタ」
配管途中に管用平行おねじ(Gねじ)接続の計装品等を追加する際に使います。バフ研磨品なので美観に優れており、メッキ仕上げの給水管との相性も抜群です。
図13:メスメスアダプタ
管用平行おねじ(G)同士を90°曲がりで接続する「両ナット付フレキ用エルボ」
一般的なモデル
配管途中に管用平行おねじ(Gねじ)接続の計装品等を追加する際や、シンク下で分岐バルブから食洗機等へステンレスフレキ管を使って配管する際に使用します。
図14:両ナット付フレキ用エルボ
よりコンパクトな「両ナット付小曲りエルボ」
配管途中の狭いスペースでGおねじの計装品等を追加する際に便利な、芯々19.5㎜の小曲りエルボです。
図15:両ナット付小曲りエルボ
まとめ
ステンレスロングフレキの利便性はその調整可能な長さと曲げ角度にありますが、実際には給湯器や計装品などの機器と効果的に結びつけるには、適切な継手の選択が不可欠です。市場には多様な継手が存在しますが、実用性の観点からそれらを大きく3つの基本的なタイプに分類して考えることが効率的です。①めねじ同士を繋ぐニップル系、②めねじとおねじを変換する変換継手系、③おねじ同士を接続するアダプタ継手系です。ねじ種や管径を変換する異径ニップルのように特定の機能を持つ継手や、メンテナンスを容易にするためのアダプタ、方向転換を可能にするエルボアダプタなど、様々な状況に応じて最適な選択をしましょう。
※この記事は2021年2月10日に公開された内容ですが、校正し直し2024年3月28日に再度公開しました。