給湯器取替工事の極意は異種管変換にあり
※2021年1月18日に公開した記事ですが、内容を修正し2023年5月26日に再度公開しました。
- 1. 異種管接続を極めれば、配管の結び直しに頭を悩ませる必要がなくなる
異種管接続を極めれば、配管の結び直しに頭を悩ませる必要がなくなる
古い家屋を中心に、給水給湯配管が別々の種類のもので施工されているケースがあります。主たる要因は耐熱温度の違いによるもので、給水は「ライニング鋼管」、給湯は「銅管」などというパターンも未だ数多く残っています。そんなケースでも異種管接続の方法が分かっていれば、耐熱性・耐腐食性・加工性などに優れた汎用性の高い配管材1種類だけで大抵の現場に対応することができます。
給水給湯配管をステンレスフレキシブル管で結び直す場合
機器入替工事の短い距離の結び直しで、最も使用されるのが「ステンレスフレキシブル管」。特に長尺品なら、現場で必要な長さに切断してツバ出し機でツバを出し、曲げ加工後に袋ナットを締め付ければ、無駄なく最後まで使用することができます。ところがこのステンレスフレキシブル管、加工性があだになってか、パッキンを使用する平行(G)ねじ接続なので、「シールテープ」で止水する一般的なテーパー(R)ねじタイプの継手類をそのまま接続することができません。ここでは、人気の高いステンレスフレキシブル管に「平行ねじ」で接続できる異種管変換継手を説明します。
銅管との異種管変換継手は「テクタッチ オスアダプタ(平行ねじ)」
「テクタッチ オスアダプタ 平行ねじ(品番:TF-MA4G/TF-MA6G)」
ワンタッチ接続の安全性と施工性の良さが評価され、今や変換継手の代表格と言っても過言ではない「テクタッチ オスアダプタ」。当初はテーパーねじのみでスタートしましたが、現場からの沢山のご要望にお応えして平行ねじ仕様をラインナップに加えました。「ステンレスフレキシブル管」を使用する方には是非ともオススメしたい変換継手です。
品番 | ねじ | 適合銅管 | 全長 |
TF-MA4G | G1/2オス | φ15.88 | 41㎜ |
TF-MA6G | G3/4オス | φ22.22 | 44㎜ |
塩ビ管(VP/HI/HT)との異種管変換継手は「メタル入給水栓ソケットとフレキニップル」
既存配管が塩ビ管の場合は、平行おねじタイプの継手が無いため、メスねじの「メタル入給水栓ソケット」に「フレキニップル」のテーパーねじ側をねじ込んで平行おねじに変換します。給水栓ソケットとフレキニップルの接続には「シールテープ」が必要ですのでご注意ください。
TSメタル入り給水栓ソケット
品番 | ねじ | 適合管 | 全長 |
TSMWS-13 | Rp1/2 | VP-13 | 47㎜ |
TSMWS-16 | Rp1/2 | VP-16 | 52㎜ |
TSMWS-20 | Rp3/4 | VP-20 | 59㎜ |
HIメタル入り給水栓ソケット
品番 | ねじ | 適合管 | 全長 |
HIMWS-13 | Rp1/2 | HIVP-13 | 47㎜ |
HIMWS-16 | Rp1/2 | HIVP-16 | 52㎜ |
HIMWS-20 | Rp3/4 | HIPV-20 | 59㎜ |
HIMWS-25 | Rp1 | HIVP-25 | 68㎜ |
HTメタル入り給水栓ソケット
品番 | ねじ | 適合管 | 全長 |
HTMWS-13 | Rp1/2 | HTVP-13 | 47㎜ |
HTMWS-16 | Rp1/2 | HTVP-16 | 52㎜ |
HTMWS-20 | Rp3/4 | HTVP-20 | 61㎜ |
HTMWS-25 | Rp1 | HTVP-25 | 69㎜ |
フレキニップル
品番 | G(平行)ねじ | R(テーパー)ねじ | 全長 |
SKFN-15 | 1/2オス | 1/2 | 30㎜ |
SKFN-20 | 3/4オス | 3/4 | 34㎜ |
変換継手とフレキニップルの接続には「シールテープ」が必要
品番 | 幅 | 全長 | 色 |
CT-15JA | 13㎜ | 15m | ホワイト |
ねじの切られていない鋼管との異種管変換継手は「CKMAメスアダプタ(コート)とフレキニップル」
給湯器の交換時、やむを得ず既設の鋼管をカットするケースもあると思います。そんな時に便利な「CKMAジョイント」を「ステンレスフレキシブル管」に変換する場合は、「CKMAコートメスアダプタ」と「フレキニップル」を組み合わせてご使用ください。この継手は「塩ビ管」にも使えますが、価格重視で考えれば前述の「メタル入給水栓ソケット」を選定するのが自然です。
施工は、切断した鋼管をメスアダプタのナットを外さずそのままユニオン部に差し込んでレンチなどで締め込めばカンタンにねじ変換することができます。なお、鋼管の場合、13Aで40Nm、20Aで60Nmの締め付けトルク管理を行ってください。
関連ブログはこちら→ねじ無し鋼管(ぼうす管)の接合には「CKMAジョイント」を活用しよう
CKMAメスアダプター(コート)
品番 | ねじ | 適合鋼管 | 全長 |
CKMA-WA13 | Rc1/2 | 15A | 65㎜ |
CKMA-WA20 | Rc3/4 | 20A | 68㎜ |
ステンレス薄肉管との変換継手は「イノクイック メスねじアダプタとフレキニップル」
ステンレス薄肉管も、地域によっては非常に多く使われている配管材です。一般的には専用のプレス工具で接続する「モルコジョイント」を使用することが多いのですが、よりカンタンに接続可能なワンタッチ式の「イノクイック」を使うことによって、専用工具不要の迅速な接続が可能となります。ただし、残念ながら平行ねじ仕様のオスアダプタがラインナップされていないので、「ステンレスフレキシブル管」で結び直す際には「フレキニップル」を組み合わせてご使用ください。
「イノクイック メスねじアダプタ(品番:IQSFA-13SU/IQSFA-20SU)」
品番 | ねじ | 適合SUS管 | 全長 |
IQSFA-13SU | Rc1/2 | 13Su | 40㎜ |
IQSFA-20SU | Rc3/4 | 20Su | 46㎜ |
給水給湯配管を架橋ポリエチレン管で結び直す場合
新築のみならずリフォームでも使用されることが多くなった「架橋ポリエチレン管」は、耐腐食性・耐熱性に優れた汎用性の高い配管材料です。一人で引き回せるほど軽量で、あらかじめ保温材に挿入されている仕様であれば保温工事がいらないので、機器の移設が伴い長い距離を配管するケースにおいて「ステンレスフレキシブル管」よりも有利です。
銅管との異種管変換継手は「銅管変換アダプタ」
「銅管変換アダプタ(品番:WJ35シリーズ)」
ナット締め込み式の銅管アダプタと、信頼性の高いダブルロックジョイントを組み合わせた変換継手です。安全性も高く接続自体もカンタンですので、架橋ポリエチレン管をメインで使用されている場合は携行していて損はない継手です。
品番 | 銅管 | PEX | 全長 |
WJ35-1513-S | 15.88 | 13A | 55.5㎜ |
WJ35-2213-S | 22.22 | 13A | 58㎜ |
HIVP管との異種管変換継手は「HIVP変換アダプタ」
「HIVP変換アダプタ(品番:WJ27シリーズ)」
HIVP管と架橋ポリエチレン管を接続する際に「HIVP変換アダプタ」を使用すれば、一発で異種管変換が可能です。こちらも架橋ポリエチレン管の接続は信頼性の高いダブルロック方式ですので、安全かつ迅速な接続作業が実現できます。
品番 | HIVP | PEX | 全長 |
WJ27-1313C-S | 13 | 13A | 125㎜ |
WJ27-2013C-S | 20 | 13A | 137.5㎜ |
WJ27A-2016CS | 20 | 16A | 139.5㎜ |
WJ27A-2020CS | 20 | 20A | 155㎜ |
給水給湯配管をポリブテン管で結び直す場合
ポリブテン管も基本特性は架橋ポリエチレン管と同様です。ただし注意が必要な点として、呼び径16A以上は架橋ポリエチレン管と内外径が異なる為、共通の継手が使用できないことを忘れてはいけません。ポリブテン管を使用する際は、できるだけブリヂストン等のメーカー純正継手を使用されることをオススメします。
銅管との異種管変換継手は「プッシュマスター 銅管変換継手」
「プッシュマスター 銅管変換継手シリーズ」
ポリブテン管用継手では最も知名度の高い「ブリヂストン プッシュマスター」シリーズの銅管変換継手です。銅管側はあらかじめスリーブを挿入する必要はありますが、ほぼワンタッチに近い接続が可能です。
品番 | ポリブデン管 | 適合銅管 | 全長 | ボディ材質 |
NCH13JJX15A | 13A | φ15.88 | 63.4㎜ | 樹脂 |
NCH13JX20A |
13A | φ22.22 | 64.9㎜ | 青銅 |
NCH16JX20A | 16A | φ22.22 | 67.1㎜ | 青銅 |
HIVP管との異種管接続継手は「プッシュマスター HIVP変換継手」
「プッシュマスター HIVP変換継手シリーズ」
「プッシュマスター HIVP変換継手」は、一発でHIVP管からポリブデン管への変換が可能です。ブリヂストン社のラインナップはHIVP13×PB13、HIVP16×PB16、HIVP20×PB20の3サイズの設定がありますが、ベストパーツオンラインでは異径サイズの2種のみ在庫して当日出荷しています。
品番 | HIVP | PB | 全長 |
NAH13JX20A | 20A | 13A | 117.7㎜ |
NAH16JX20A | 20A | 16A | 118.3㎜ |
まとめ
時代や地域など、さまざまな要因でたくさんの種類が使われてきた給水給湯配管。給湯器取替工事の際、手持ちの配管材と上手く接続ができなくて困った、または困らないようにいろいろな種類の継手を準備しているが管理が大変、などの問題があるのも事実です。異種管変換継手の存在と使い方を知っていれば、安全かつ迅速な異種管接続ができることに留まらず、たくさんの種類の継手を持つ必要がなくなり管理の手間も簡素化できます。また、使用する配管材の種類を1つに絞ることも実現できます。給湯器交換工事の極意と言っても過言ではない「異種管変換」。是非とも作業車の中に1、2個置いてみてはいかがですか?
佐々木 克仁
最新記事 by 佐々木 克仁 (全て見る)
- トイレ修理の効率化!即納可能な汎用アフター部品ガイド - 2024年4月5日
- 準備しておくと便利:ステンレスフレキ用継手の種類と活用法 - 2024年3月28日
- 液状シール剤の選び方:用途と作業性を考慮したおすすめ5選 - 2024年3月19日