適切なスペーサーを選び設備機器を水平設置
※この記事は2019年7月11日に公開した記事ですが、修正を加え2022年1月11日に再度公開しました。
現場に応じて使い分けたいスペーサー
東日本大震災で設備機器の転倒防止が大きく変化しました。特に、電気温水器が多数転倒したことを受け、ガス・石油も含めたすべての給湯設備について転倒防止措置の基準が明確化されています。それまでは天然ゴム板やステンレス板でかさ上げして水平を取っていた現場も、構造耐力基準を満たすあと施工アンカーを用いてコンクリート基礎に緊結したうえでレベルを出さなければなりません。また、給湯機器メーカーでは耐震基準を満たす機器専用の簡易ベースを取り揃えるようになりました。この場合、土間づくりの時点でレベル出しするものの、やはり微調整が必要になることは少なくありません。
横から抜き差しできるU字タイプの「レベル調整スペーサー」
「レベル調整スペーサー」は、設備機器の取付足をコンクリート基礎へ直接緊結する際に横から抜き差ししながら水平を取る部材です。固定の仕様はM6からM16のあと施工アンカーが主流です。例えば、M6からM8を使う据置型のガス・石油給湯器、M8からM12を使うハイブリット給湯器の貯湯タンクや石油機器用のオイルタンク、M12以上を使うエコキュートの貯湯タンクなどを据付する際、まず墨出しをしてから金属系または接着系のあと施工アンカーを打ち込みます。次にアンカーボルトの位置に合わせて取付足を乗せます。それから水平器を見つつレベル調整スぺーサーを抜き差しできるように、アンカーボルトの太さに合わせたU字の切欠きを備えています。
万能タイプの50角「レベル調整スペーサー」
品番 | 厚み | 材質 | 適合アンカーボルト | 入数 |
LS50501D | 1.0 | 溶融亜鉛メッキ | M12以下 | 10 |
LS50503 | 3.0 | ユニクロメッキ | 5 | |
LS50506 | 6.0 | 5 | ||
S-SPU50 | 1.0 | SUS304 | M16以下 | 10 |
S-SPU53 | 3.0 | 5 | ||
S-SPU55 | 5.0 | 5 |
従来、耐食性の観点からSUS304だけをラインナップしておりましたが、設備機器の取付足と同じユニクロや溶融亜鉛メッキにダウングレードしたLSシリーズは非常に人気があります。どうぞ、取付足の材質に合わせてお選びください。また、LSシリーズの製品表面にはt=○○㎜と厚み寸法を刻印してありますので、施工中や施工後でもカンタンに目視確認することができる点も好評です。3種類の厚みのレベル調整スペーサーを重ね合わせてお使いください。
美観に優れた丸型取付足用のφ50「レベル調整スペーサー(丸型)」
品番 | 厚み | 材質 | 適合アンカーボルト | 入数 |
S-SPU50R | 1.0 | SUS304 | M12以下 | 10 |
S-SPU53R | 3.0 | 5 | ||
S-SPU55R | 5.0 | 5 |
給湯機器の対象商品は多くありませんが、取付足の形状が丸い製品をとてもきれいに施工することができる「レベル調整スペーサー(丸型)」。また、丸型はどの位置から差し込んでもスペーサー同士のズレが目立ちませんので、複数重ねて使用する場合にも便利です。
コンクリート2次製品には土木用の樹脂タイプ
耐震基準を満たす機器専用の簡易ベースやヒートポンプ用のスライドベースといったコンクリート2次製品を利用する現場も増えてきました。その場合、機器固定用のボルトで調整する前に、土間の捨てコンや犬走り、そしてバルコニーにコンクリート2次製品であるベースを設置する段階で概ね水平を取りたいものです。その際に便利な部材が土木用の強度を持つ「レベルスペーサー」です。
品 番 | 幅 | 長さ | 厚み |
AAU-402 | 40 | 80 | 2 |
AAU-403 | 3 | ||
AAU-405 | 5 | ||
AAU-410 | 10 | ||
AAU-415 | 15 | ||
AAU-420 | 20 | ||
AAU-702 | 70 | 140 | 2 |
AAU-703 | 3 | ||
AAU-705 | 5 | ||
AAU-710 | 10 | ||
AAU-715 | 15 | ||
AAU-720 | 20 | ||
AAU-1002 | 100 | 200 | 2 |
AAU-1003 | 3 | ||
AAU-1005 | 5 | ||
AAU-1010 | 10 | ||
AAU-1015 | 15 |
「レベルスペーサー」のうれしい3つの特徴
サイズの刻印があるので目視で厚みを確認できる
製品裏面にサイズの刻印が入っていますので、厚みの異なるスペーサーを重ねる際に目視で厚みを確認できます(図1)。ただし、幅40㎜サイズに限り表面に記載があります。
重ねた際の位置ずれ防止に凹凸が付いている
重ねて使用する場合も40サイズであればL字の凹凸(図2左)、70・100サイズは+の凹凸(図2右)が付いているので位置ずれを防止します。幅が同じであれば凹凸は合いますので、厚みの違うスペーサーを組み合わせることも可能です。
座ぐりが施されているので、固定の際の釘穴が目立たない
木などに固定するような現場の場合、釘穴は座ぐり仕様となっていますので、釘頭がレベル調整の障害になることはありません(図3)。
ヒートポンプの防振対策とレベル調整を同時に行える「置き型防振ゴム」
スペーサーとは少し異なりますが、レベル調整ができるという点で「置き型防振ゴム(品番:ACM-30)」をご紹介させてください。ヒートポンプやポンプの防振対策とレベル調整がまとめてできる「置き型防振ゴム」は、施工時間の短縮に繋がると近年徐々に人気を集めている施工部材です。付属のボルトナットを使用した場合、6㎜以上の勾配であればボルトを2個使用することで任意の位置でレベル調整ができます。逆に5㎜以下の軽微なレベル調整を行う場合は、スペーサーやゴム板などで調整して下さい。
品 番 | 付属品 |
ACM-30 | ボルト(M10)40㎜×1・ナット(M10)×2・ワッシャー(M10)×2 |
まとめ
設備機器の固定にレベル調整は必須の作業です。あと施工アンカー固定の機器にはU字の切り込みがあり横から差し込める「レベル調整スペーサー」、機器専用の簡易ベースやエアコンやヒートポンプ用のスライドベースといったコンクリート2次製品のレベル調整には「AAUタイプ」、室外機の固定と防振対策、そしてレベル調整までまとめてできる「置き型防振ゴム(品番:ACM-30)」を用いて設備機器を短時間で確実に水平設置しましょう。
佐々木瞭
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