壁貫通部の処理に合わせてパテを使い分けましょう
不燃、延焼防止、高粘着、耐火パテの使い分け
本稿では、一般的な「シールパテ」より高度な特殊機能を持ち合わせたパテについてご紹介します。
不燃材指定があれば「耐火パテ(品番:KF-P)」
品番 | 適用範囲 | 販売単位 |
KF-P | 使用厚さ:10mm~552mm | 1個 |
「耐火パテ硬化型不燃タイプ(品番:KF-P)」は国土交通大臣認定の不燃材料パテです。防火上、不燃材料で規定されている部位の処理を簡単に行うことができます。硬化型の為、施工後にパテが変形することがなく、施工時の形状を保持します。低比重の為軽量で施工性に優れており、壁や床などの目地材や隙間埋め材としても使用できます。ただし、冷媒配管や塩ビ管など「不燃性配管以外の配管」の防火区画貫通部の埋め戻し処理材にはご使用いただけませんので注意が必要です。また、防火区画貫通部の埋め戻しなどで使用する場合は、事前に所轄の官公庁に相談してください。
延焼防止に優れた非硬化型「延焼防止パテ(品番:TP-160)」
品番 | 適用範囲 | 販売単位 | |
TP-160 | 使用量の目安であるφ70以下に対して1袋(160g) | 1個 |
万が一火災が発生した時は配管やケーブルの被覆が導火線のようになり失火します。「延焼防止パテ(品番:TP-160)」は火災の熱でパテが20倍に膨らみ、隙間をしっかり塞いで、火が隣接する部屋や隣の家に燃え広がる現象を抑制します。その能力は、国土交通省所管の公的試験機関が実施した”屋外からの失火を想定した試験”において、耐火壁にて1時間の延焼防止能力が確認されています。ただし、その性能を発揮させるためには「使用量の目安であるφ70以下に対して1袋(160g)」を遵守する必要があり、国土交通省の不燃認定は受けていない点には注意が必要です。
脱落しにくい「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」
一般的な配管用パテの中で脱落する恐れがある設置箇所におすすめなのが、粘着性に優れた「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」です。例えば一般的に床や天井の開口部はもちろん、壁であってもコンプレッサー等の振動にさらされる冷媒配管は、パテが脱落する恐れがあります。しかし「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」なら、施工業者様に好まれる非硬化型パテでありながら密着性が高く、脱落を防ぐことができます。エアコンなどの設備入替えに伴う配管やケーブルの再貫通が予測され、かつ脱落の恐れがある開口部にお使いください。ただし、難燃剤入りですが防火区画には使用できない点に注意が必要です。
品番 | 容量 | 色 | 販売単位 |
IPH | 750g | グレー | 1個 |
マンションなど集合住宅には「耐火パテ(品番:IRM-P)」
マンションなどの集合住宅では、共有部側(廊下側)にエアコンの室外機を設置するように指定されている場所があります。そのような場合、エアコン配管の壁面貫通部には新たにラインナップした「マンション用耐火パテ(品番:IRM-75P・IRM-100P)」がおすすめです。国土交通大臣認定品であり、日本消防設備安全センター評定を取得しているので安心して使用することができます。あらかじめユーザーが入居する前に壁面のスリーブ穴にパテを保管しておけば、後日エアコンを設置する施工業者様にも分かりやすく、配管後に詰めるだけで簡単に施工が完了します。一般的な樹脂製、ステンレス製のエアコンキャップに対応し、エアコンキャップがない場合でも使用可能です。
品番 | 内容量 | 適合スリーブ径 | 販売単位 |
IRM-75P | 590g | 75A | 1セット |
IRM-100P | 590g×2個 | 100A |
各自治体により、防火区画にエアコンを設置する際の耐火措置が異なるため、事前にご確認ください。
まとめ
配管用パテには様々な用途に応じた機能を持つバリエーションがあり、適切に使い分けることが可能です。不燃処理が必要な現場は「耐火パテ硬化型不燃タイプ(品番:KF-P)」、不燃指定はないものの延焼の恐れがある現場には「延焼防止パテ(品番:TP-160)」、一般的な難燃レベルでも脱落の恐れがある開口部には粘着力に優る「高粘着難燃パテ(品番:IPH)」、防火区画処理が求められる集合住宅のエアコン配管貫通部には「マンション用耐火パテ(品番:IRM-P)」という具合に使い分けてください。
※この記事は2022年3月29日に公開された内容に、新商品を加えて校正し直し2024年6月18日に再度公開しました。
佐藤 陽子
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