家庭用蓄電池の簡単設置:エリーパワーのPOWER iE5とエコベースの活用法

家庭用蓄電池の市場は、過去数年間で顕著な成長を遂げています。JEMA(一般社団法人日本電機工業会)によると、2011年の約1,939台から2022年度には約767,585台へと出荷量が激増し、技術の普及が急速に進んでいることを示しています。この動向に伴い、エリーパワー社の「POWER iE5 GRID」蓄電池など、家庭用蓄電池の導入が標準化されつつあります。本稿では、特に注目される「エコベース Eシリーズ(品番:E450-EC750)」に焦点を当て、この簡易基礎がどのようにしてエリーパワー社の製品設置を支援し、多くの推奨を獲得しているのかを掘り下げていきます。

安全性を証明:エリーパワー社との共同耐震試験に成功し、推奨を獲得

エコベースは、もともとエコキュートの貯湯タンク設置用の基礎として利用されてきましたが、その応用範囲は今や蓄電池設置にまで拡大しています。この基礎を使用することで、コンクリートの乾燥待ち時間が不要になり、設置作業を1日で完了させることが可能です。さらに、均一で高品質な施工が可能となるため、専門的な技術がない方でも安心して使用できます。

型枠基礎工法とエコベースの比較:時間、コスト、品質の優位性

従来の型枠を用いた基礎工法(写真1)では、コンクリートの乾燥に2~3日を要し、この時間的な要素が全体のコストと工程に大きな影響を与えていました。さらに、手作業に頼る部分が多いため、施工品質において均一性を保つことは困難でした。これに対し、「エコベース Eシリーズ」を使用すると、これらの問題点が劇的に改善されます。まず、乾燥時間が必要ないため、施工期間が大幅に短縮され、コスト削減に貢献します。また、施工のプロセスが標準化されているため、均一で高い品質の施工が可能となります。このようにエコベースの採用により、時間、コスト、品質の各面で従来の工法よりも大きな優位性を得ることができ、施工の効率化に大きく寄与します。

写真1:型枠を使った一般的な基礎工法

エリーパワー社の選択:エコベース Eシリーズの品質・実績・コスト

「エコベース Eシリーズ」がエリーパワー社に採用された背景には、品質・実績・コストという3つのキーポイントがあります。まず、コンクリート製品としての高い品質が保証され、施工不良のリスクを最小限に抑えることができます。次に、耐震検討や共同開発など、さまざまな業種やメーカーとの豊富な実績が信頼の証です。最後に、特別な専用品ではなく、コスト効率の高い汎用品を使用していることが、この基礎の採用を後押ししています。

耐震性能:クラスBの認証とクラスA相当の実力

「エコベース Eシリーズ」は、2021年8月に建築設備機器の耐震クラスBを取得し、数多くの耐震検討と試験を経て、クラスA相当の耐震性能を備えるまでに至りました。この高い耐震性能により、小型のPOWER iE5 Linkを含む多様な設置環境でも安全に設置が可能です。さらに、エリーパワー社と東洋ベース株式会社が共同で行った耐震試験の成功により、メーカー推奨品としての地位を確立しました。この認証は、施工業者様にマッチングの心配や保証の問題を解消させ、ユーザーへの安心な提案を可能にします。また、専用の施工手順書も設定されているため、より安全かつ確実な施工を実現します。

コンパクト設計:従来の基礎工法とのサイズ比較

従来の型枠基礎工法においては、設置に幅855㎜×奥行500㎜のスペースが必要ですが、「エコベース Eシリーズ」の採用により、これが幅755㎜×奥行450㎜というコンパクトなサイズにまで縮小されます。このサイズの削減により、限られたスペースでも効率的に設置することが可能となります。ただし、エコベースの使用は屋外、1階、土の上といった条件下での設置に限定されていることにご注意ください。

図1:エコベースを使用した場合には、幅755㎜×奥行450㎜でコンパクトなスペースにも設置が可能です。

図2:一般的な基礎で施工する場合には、幅855㎜×奥行500㎜のスペースが必要です。(エリーパワー株式会社様ホームページより引用)

エコベース Eシリーズの進化:新モデルの特徴とセット明細

エコベース Eシリーズ(品番:E450-EC750)」は、既存の「エコベース Eシリーズ(品番:E450B)」と基本構造は似ていますが、重要な違いがあります。この新モデルは、E450Bと異なる部品セットを用いることで、エリーパワー社製「POWER iE5 GRID」の設置要件により適切に対応できるように設計されています。

写真2:蓄電池での採用が増加している「エコベース Eシリーズ」

品番 品名 内容 数量
E450-EC750 本体 E450-1 2本(重量:21㎏×2=42㎏)
付属品 EC750 ザムプレート580㎜ 2枚
M10六角ボルト15㎜ 4本
M10丸ワッシャー 4個
M12六角中ボルト100㎜ 4本
ドブ付M12×60ボルトセット 4組
アルミテープ25㎜×100㎜ 4枚

他の必要部材

品名 内容 数量
インスタント生コン ATRY-CT 砕石入り 25㎏×1袋
インスタントモルタル INST-MT 25㎏×2袋
W3/8全ネジボルトセット ET-AK W3/8全ネジボルト500㎜ 4本
W3/8六角ナット 12個
W3/8ワッシャー 4個

施工のポイント

エコベース Eシリーズ(品番:E450-EC750)」の施工プロセスは、大きく分けて次のステップから成り立っています。まず、「土間の整地・墨だし・掘削」を行い、基礎が設置される場所を準備します。次に、「転圧・水平確認」を行い、地面の安定性と水平が保たれていることを確かめます。その後、「インスタント生コンの投入」によって基礎の安定性を高め、続いて「基礎設置」を行います。基礎が設置された後は、「プレートの組立」と「抜け止めボルトの取付」を進め、蓄電池の安定した設置を保証します。最終段階では、「土間との関連付け」を行い、必要に応じて追加の固定措置を施します。プロセスの締めくくりとして、「仕上げ・完成」の段階で、施工された基礎の確認と仕上げ作業を行います。

写真3:完成後の写真。本体の間の生コンが乾く前でも機器の設置ができるので、施工時間を大幅に短縮することが可能です。

最も重要な「転圧と水平確認」

施工における一番重要なポイントは、地面への沈み込み防止対策と水平確認です。土間作りの時点で水平が確保されていないと設置後の修正がききませんので、必ず水平を確保するようにしてください。

写真4:土間の整地と墨だし、および掘削(幅855㎜×奥行550㎜×深さ80㎜)を行った後の「転圧と水平確認」が、施工における最も重要なポイントとなります。

土間との関連付けは任意

「POWER iE5 GRID」と「エコベース Eシリーズ(品番:E450-EC750)」を組み合わせて設置する際、本来であれば置くだけで耐震クラスBの性能は確保されています。よって土間との関連付けは基本的に必要ありませんが、エリーパワー社ではアンカーの打ち込みを推奨しているため、状況に応じて「W3/8全ネジボルトセット(品番:ET-AK)」を使用し関連付けを行ってください。

写真5:土間との関連付けが必要な場合は、W3/8全ネジボルトの上部から15㎜の部分にナット2個とワッシャー1枚をセットし、本体の貫通穴から全て打ち込み、フィルコンRを流し込みます。

まとめ

家庭用LIB蓄電システムの普及が進む中、エリーパワー社の「POWER iE5 GRID」を安全かつ迅速に設置するための鍵となるのが「エコベース Eシリーズ(品番:E450-EC750)」です。建築設備機器の耐震クラスBを取得し、メーカー推奨品としての信頼性を獲得しているこの基礎は、効率的で高品質な設置を実現します。経験が浅い方でも容易に扱えるため、多くの施工現場での採用が期待されます。

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佐々木 克仁

2001年ベストパーツ株式会社(旧東北綜合器材株式会社)入社。2002年より営業職。分類は給水給湯を担当。1976年生まれ。
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