熱動弁と電動弁に使えるシーメンスの「コントローラ(品番:RAA31)」
※この記事は2020年1月14日に公開したものですが、校正し直し2021年9月22日に再度公開いたしました。
熱動弁と電動弁は動作と構造が違う
熱動弁、電動弁を選ぶ際には、一般的に開閉の繰り返しサイクルが短く回数が多い場合は熱動弁、閉弁時のシール性能が重視される場合は電動弁を選ぶ方が良いと言われています。ですから、各放熱端末やヘッダーには「熱動弁」、流体のメイン経路を大元で開閉する目的、例えば制御用の弁の上流に設置するような使い方では「電動弁」が多く使用されます。
熱動弁は動作部がなくコンパクト
「熱動弁(品番:HP305K)」は、ONになるとセラミックスヒータで加熱されたワックスエレメントが膨張して開弁し、OFFになるとスプリングリターン式のため自動的に閉弁します。機械的な動作部がなくコンパクトでローコストなうえ、 ウォーターハンマーや締切時の水切音が抑えられ、静音性に優れているのでヘッダーや各放熱端末に設置するのに適しています。
品番 | ねじ | 定格電圧 |
HP305K | R1/2 | 100V~200V |
HP405K | R3/4 | 100V~200V |
電動弁はモーターと減速機が内蔵されているから頭でっかち
電動弁は文字通り電動モーターで駆動する弁です。モーターに加えて減速機を内蔵するので、熱動弁に比べると「頭でっかち」な見た目になりますが、より大きなトルクを利用することができるため大口径な主管に適しています。さらに弁体はボールバルブなのでシール性に優れ、高い圧力でも使用できます。しかし違いはそれだけではありません。電動弁は、閉弁するにはモーターを反転動作させなければならないのです。
RAA31は設定温度を超えると出力の接点が変わる
品番 | 設定温度範囲 | 定格電圧 |
RAA31 | 3~35℃ | AC24~250V |
「室内温度調整器(品番:RAA31)」には空気温度センサーが内蔵されており、前面のダイヤルで設定した温度を超えるとアクチュエーターへの通電を切替え、バルブの開閉を操作する仕組みです。「室内温度調整器(品番:RAA31)」最大の特徴は前面のダイヤルで設定した温度を超えると通電の方向が切り替わることです。
熱動弁を取り付ける場合の結線方法
下図は、「室内温度調整器(品番:RAA31)」を暖房回路に設置する場合と冷房回路に設置する場合の結線図です。
「室内温度調整器(品番:RAA31)」は、室温が設定温度より低い場合は「Y1」に通電し、設定温度より高くなると「Y2」の接点に通電します。図面上にある熱動弁D1、D2は電流がOFFになるとスプリングの力だけで自動的に閉弁しますから、暖房回路の場合は「Y1」、冷房回路の場合は「Y2」に熱動弁のコードの一本を接続し、もう一本を電源Nに接続するだけで自動的に閉弁まで行うことができます。
つまり、暖房回路はY1に熱動弁の1芯、Lに電源の1芯を接続し、残った熱動弁の1芯と電源の1芯Nを結線、冷房回路はY2に熱動弁の1芯、Lに電源の1芯を接続し、残った熱動弁の1芯と電源の1芯Nを結線するということです。
電動弁と組み合わせる場合の結線方法
電動弁との接続は「室内温度調整器(品番:RAA31)」の出力接点が設定温度を超えると切替わる機能を利用します。下図は、暖房回路に「室内温度調整器(品番:RAA31)」とKITZ社の電動弁「EALシリーズ」を組み合わせた結線図です。
「室内温度調整器(品番:RAA31)」は、設定温度より低くなると開弁、設定温度より高くなると閉弁します。まず、AC電源「白」を電動弁本体「赤」と直接結線します。次に「Y1」の端子に電動弁の「白(開)」を接続します。そして「Y2」の端子に電動弁の「黒(閉)」を接続します。最後にAC電源「黒」を「L」の端子に接続して完了です。
すると「Y1」に通電すると電動弁が開弁の方向に回転し続け、「Y2」に出力が切り替わると閉弁の方向に回転し続けます。どちらも動作方向に力が働き続けるため、特に止水性能が高いと言えます。
なおベストパーツでは、電動弁とコントローラ保護の為に、電動弁の定格電流に合わせたヒューズを取り付けることをオススメしています。
まとめ
冷房回路、暖房回路に関わらず室内温度を制御する為にはコントローラとバルブによる制御が必要です。
一般的に開閉の繰り返しサイクルが短く回数が多い回路の端末には「熱動弁」、閉弁時のシール性能が重視される主管には「電動弁」を選ぶ方が良いと言われています。「室内温度調整器(品番:RAA31)」は冷房回路、暖房回路に関わらず、熱動弁、電動弁どちらの制御もできるコントローラです。冷温水空調システムのコントローラを選定する際にはぜひご検討下さい。
大宮彰大
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