空調システムにおいて設置がカンタンな空冷式が増えた今でも、熱効率が高い水冷式は根強い人気があります。水冷式の熱効率を長期間に渡って発揮させるには、循環回路に発生する藻やスケールなどの不純物を除去しなければなりません。本稿では、不純物に応じた洗浄剤をご提案させていただきます。

不純物に応じて洗浄剤を使い分ける

循環回路に藻やスケール等の不純物が発生すると熱交換の障害となり性能が低下します。回復させるには、配管に付着した不純物を除去しなければなりません。その場合、循環液を分析したうえで洗浄計画を立て、ターゲットに合わせた薬剤を投与し循環洗浄することで不純物を除去します。

不純物の種類と対応洗浄剤

藻やスライムを除去する中性洗浄剤（ショウクリーナSS）

商品コード	容量	販売単位
SS-106-20K	20Kg	1缶
SS-130	20Kg	1缶

SS-106-20Kは、藻やスライム、スラッジを除去する過酸化水素を主成分とした洗浄剤です。中性タイプなので回路内の中和処理が必要ありません。SS-130は「医薬用外劇物」に指定され、SS-106-20Kより高濃度で洗浄力が強力なタイプです。

中性洗浄剤(ショウクリーナ）の洗浄手順

1. 回路内の循環液をすべて抜きます。
2. 保有水量に対し、SS-106-20Kは20～30％、SS-130は5～15％に薄めてください。
3. 回路内に薄めたショウクリーナを投入し、汚れの程度に応じて1～4時間循環させます。
4. ショウクリーナを抜き、水で回路内を洗浄します。
5. 洗浄中に不純物がまだ出るようなら、2～4を繰り返してください。
6. 不純物が出なくなれば洗浄は完了です。新品の循環液を投入してください。
7. 洗浄廃液は産業廃棄物として専門業者に委託するか、排水先の規制値を下回るまで処理してから公共下水に排水してください。

カルシウムスケールの除去には粉末タイプのスケール洗浄剤（ニューネオラックスF）

商品コード	容量	販売単位
NN-F	5Kg	1袋（5kg）

NN-Fはカルシウムスケールを除去するスルファミン酸を主成分とした洗浄剤です。溶解力が早く作業性に優れています。酸性洗浄剤の為、回路内を中和する処理が必要です。

スケール洗浄剤（ニューネオラックスF）の洗浄手順

1. 回路内の循環液をすべて抜きます。
2. 保有水量に対し、ニューネオラックスFを10～15％に薄めてください。
3. 回路内に薄めたニューネオラックスFを投入し、汚れの程度に応じて1～4時間循環させます。
4. 汚れがひどい場合は、ニューネオラックスFを追加投入してください。
5. 不純物が出なくなれば洗浄は完了です。
6. 回路内のニューネオラックスFを抜いて、水を張り、中和防食剤チヒロを徐々に回路に投入します。循環させながら、pHが8～9になるまで中和処理をしてください。
7. 中和処理をした水を抜き、回路内を十分に水洗いしてください。
8. 新品の循環液を投入してください。
9. 酸洗浄廃液と中和処理液は産業廃棄物として専門業者に委託するか、排水先の規制値を下回るまで処理してから公共下水に排水してください。

鉄サビやカルシウムスケールを除去するスケール洗浄剤（ショウクリーナニューSS-2)

商品コード	容量	販売単位
SS-2	20Kg	1缶

SS-2は鉄サビ、カルシウムスケールを除去する洗浄剤です。浸透性が強く、作業性が優れています。酸性洗浄剤の為回路内を中和する処理が必要です

スケール洗浄剤（ショウクリーナニューSS-2）の洗浄手順

1. 回路内の循環液をすべて抜きます。
2. 保有水量に対し、ショウクリーナニューSS-2を10～50％に薄めてください。
3. 回路内に薄めたショウクリーナニューSS-2を投入し、汚れの程度に応じて1～4時間循環させます。
4. 汚れがひどい場合は、ショウクリーナニューSS-2を追加投入してください。
5. 不純物が出なくなれば洗浄は完了です。
6. 回路内のショウクリーナニューSS-2を抜いて、水を張り、中和防食剤チヒロを徐々に回路に投入します。循環させながら、pHが8～9になるまで中和処理をしてください。
7. 中和処理をした水を抜き、回路内を十分に水洗いしてください。
8. 新品の循環液を投入してください。
9. 酸洗浄廃液と中和処理液は産業廃棄物として専門業者に委託するか、排水先の規制値を下回るまで処理してから公共下水に排水してください。

酸洗浄後の回路を中和処理する洗浄用中和防食剤（チヒロ）

商品コード	容量	販売単位
P-4L	20Kg	1箱（20kg）

P-4Lは、バッグインボックス入りのアルカリ性液体です。酸洗浄後の回路を中和し、スケールの再付着を防止します。

まとめ

水冷式の循環回路内に藻やスライム、シリカやカルシウムなどのスケール、鉄サビといった不純物が発生した場合、性能が低下し熱効率が低下します。定期的に循環水を分析にかけて、循環回路内をモニタリングして洗浄計画を立てなければなりません。例えば、【藻やスライム】が発生した場合は、中性洗浄剤ショウクリーナの「商品コード：SS-106-20K」や「商品コード：SS-130」、【シリカやカルシウムスケール】が発生した場合は「スケール洗浄剤ニューネオラックスF（商品コード：NN-F）」、【鉄サビやカルシウムスケール】が発生した場合は「スケール洗浄剤ショウクリーナニューSS-2（商品コード：SS-2）」という具合に使い分ける計画をします。なお、ショウクリーナSS-106-20KとSS-130は中性ですので回路内の中和処理は不要ですが、ニューネオラックスF、ショウクリーナSS-2は酸性洗浄剤ですので「中和防食剤チヒロ（商品コード：P-4L）」で回路の中和処理が必要です。

※この記事は2021年12月21日に公開した記事ですが、修正を加え2024年12月9日に再度公開いたしました。