溶存酸素も積極的に脱気するエアセパレータ
※この記事は2019年3月1日、2020年10月27日に公開しておりましたが、商品追加・修正し2022年2月28日に再公開しました。
エアセパレータを設置するとエア抜きが楽になる
密閉システム内のエアを抜く方法は大きく分けて2つあります。まずは冒頭でも触れた「ブライン注入ポンプ(品番:CL-1521)」で循環しながら抜く、最もポピュラーで確実な方法です。施工時や定期的なメンテナンス時にはよい方法ですが、通常運転の時に行うには大掛かりな方法です。もう一つは密閉システム内にエアベントを設置する方法です。こちらは密閉システムの最も高いところや、ヘッダーなどの循環水が集まる所に設置して、流れてきたエアを抜く仕組みです。通常運転中にもエアベントにエアが流れ込んでくれば脱気することができますが、エアベント本体にうまく入り込まないと脱気することはできません。対して「エアセパレータ」は特別な工具を必要とせず、通常の運転をしながら積極的に脱気するアイテムです。
エアセパレータは溶存酸素も積極的に脱気する
「エアセパレータ」は配管上に設置するだけでブライン内の溶存酸素までも強制的に脱気することができます。
特殊なメッシュで溶存酸素を吸着する
「エアセパレータ」内部には特殊なメッシュが備えられていて、循環液(不凍液)に溶存している細かな気泡を吸着します。集まって次第に大きくなった気泡はエアセパレータ上部に溜まり、システム外に排気されます。
循環水は必ずエアセパレータを通過する流路設計
「エアセパレータ」は一般的なエアベントと異なり、流れ込んできたブラインに溶存している酸素まで脱気します。そのために循環水が必ずメッシュを通過する構造になっています。さらに配管径より「エアセパレータ」のボディを太くしてあるため、流速が落ち排気部へ気泡が上昇しやすくなるよう設計されています。
優れた脱気性能
実験のために密閉システム内に空気を投入し、どのくらいで脱気がなされたかを表すグラフです。300秒で約50%、400秒で80%程度のシステム内に放たれた空気をシステム外に脱気していることがわかります。圧力が低い方が脱気されやすく、800秒を過ぎると90%以上の空気をシステム外に放出しており優れた脱気能力が証明されています。
熱源機の往き側に取り付けるとより高い効果を発揮する
一般的なエアベントはシステムの一番高いところに設置することが良いとされています。これはシステム内のエアが浮上していった場合に抜けることを期待してのことです。一方で「エアセパレータ」はどこにつけても効果があります。中でも最も効果的な設置位置は流体温度が高く溶存酸素が溶出しやすい往き側配管です。
縦配管、横配管どちらにも対応できるラインナップ
あらゆる現場に使用することができるよう立配管用、横配管用の2種類の「エアセパレータ」がラインナップされています。
エアセパレータ 縦配管用(品番:551905)
縦配管用は流水方向が上から下へと定められているのでシステム設計の際には注意が必要です。
品番 | 設置位置 | ねじ |
551905 | 立配管 | G3/4メス |
エアセパレータ 横配管用(品番:551003)
品番 | 設置位置 | ねじ |
551003 | 横配管 | G3/4メス |
循環液に侵されないシール剤を使う
「エアセパレータ」の接続口はG3/4メスです。このG3/4は一般的な袋ナットとパッキンで止水するねじではないため、接続にはシール材が必要です。シールテープでも構いませんが、循環液への影響が少なく、銅管、樹脂管等多種の配管材に使用できる2種のシール材をオススメしています。
無溶剤型シール材 (品番:F3-W)
無溶剤型で、循環液に影響を及ぼさないシール材で、銅管・樹脂管・鉄管・SUS管・合金配管に使用可能です。
品番 | 容量 |
F-3W | 100g |
嫌気性シール材(品番:LOC575-5)
こちらも無溶剤型ですが、ネジ部に塗布後、締め付けることにより、空気が遮断されると硬化しシールする嫌気性タイプです。しっかり硬化し循環液にも影響を及ぼしません。
品番 | 容量 |
LOC575-5 | 50ml |
変換継手で簡単にシステムへ組み込む
既存のシステム追加する場合や、メンテナンスを考えて「エアセパレータ」の前後にバルブを設けたいときには「変換ニップル(品番:BRN-20GR)」や「平行ニップル(品番:BRN-20GG)」が便利です。どちらもパッキン仕様ではないG3/4ねじにも対応できるねじ長さがあります。
変換ニップル
品番 | ねじ |
BRN-20GR | G3/4×R3/4 |
平行ニップル
品番 | ねじ |
BRN-20GG | G3/4×G3/4 |
まとめ
温水暖房の密閉システムは、エア抜き作業がとても重要です。施工時には「ブライン注入ポンプ(品番:CL-1521)」で循環液(不凍液)を循環させながら1回路ずつ丁寧にエア抜きすることがセオリーです。それでも簡単には抜け切らないエアを、通常の運転をしながら抜くことができる、とても便利な「エアセパレータ」を、ぜひ一度お試し下さい。
大宮彰大
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