純正品のガスフレキ用サドルと汎用品は何が違う?詳細を知り使い分けましょう。

「ガスフレキ」を固定する「ガスフレキ用サドル」の選択肢が増えてきました。純正品のサドルに加えて、コストパフォーマンスに優れた汎用品など現場の適切な固定方法に合わせてベストな使い分けを考えましょう。

ガスフレキは共通規格なので互換性がある

ガスフレキは、JIS規格品ではありませんが、都市ガス用は「日本ガス協会のガス用ステンレス鋼フレキシブル管(フレキ管)標準仕様書」の準拠品、LPガス用は日本エルピーガス機器検査協会の「液化石油ガス配管用フレキ管検査規定(フレキ管継手を含む)」の検査合格品であり、それらの仕様は共通です。よって、継手や固定金具などの施工部材には互換性があります。

しかし、実際使ってみるとメーカーによって様々な工夫があることに気が付きます。ここでは、「ガスフレキ用サドル」について、固定方法別に仕上がりの違いを見ていきます。

隠ぺい配管に使いたい。金属製の片サドル

ガスフレキに対応した金属製の片サドルなら、取付けるだけでフレキの凸部とサドルの凹部がかん合し、立配管でもズレにくいといえます。このカテゴリで最も仕上がりが良いと感じる商品は、桑名金属工業(旧日立金属)製の「片サドル(FKS-○○-I)」シリーズです。一方、汎用品ならベストパーツオリジナルの「片サドル(FKS-○○-K)」シリーズがオススメです。他にもガスフレキ用とされる金属製片サドルはありますが、鋼など腐食する可能性がある材質を用いている製品が多くオススメできかねます。

これを使っていれば間違いはない。桑名金属工業(旧日立金属)ソフレックス🄬の純正品 「 FKS-○○-Iシリーズ」

図1:桑名金属工業(旧日立金属)製の「片サドル(品番:FKS-○○-I)」シリーズは、SUS304の本体にエポキシ樹脂の粉体塗装を施しているので腐食に対して2重の構えといえます。1袋(10個)から受注当日出荷しております。

品番 適合フレキ 内径 ビス穴径
FKS-10-I 10A φ16 18mm φ4.5
FKS-15-I 15A φ20

「片サドル(FKS-○○I)」シリーズは、桑名金属工業(旧日立金属)製のガスフレキ「ソフレックス🄬」の純正品です。ソフレックス🄬の被覆材と近似色のエポキシ樹脂で粉体塗装を施しているため、焼付工程によりエッジ部に至るまで硬度と密着性が高く、着色だけでなく、耐摩耗性と耐食性も最高品質に仕上がっています。そのうえ、本体の材質もSUS304製なので腐食の心配がなく安心してご使用いただけます。なお、塗装の色はテクノフレックス製のガスフレキの被覆色とも近似色です。

汎用品とは思えない概観ながら圧倒的なコストパフォーマンス!「 FKS-○○-Kシリーズ」

図2:ベストパーツオリジナルの金属製の「片サドル( FKS-○○-K)」シリーズは、本体はSUS304にエポキシ樹脂の粉体塗装を施しています。1袋(10個)から受注当日出荷しております。

品番 適合フレキ 内径 ビス穴径
FKS-10-K 10A φ16 20mm φ4.4
FKS-15-K 15A φ20
FKS-20-K 20A φ26
FKS-25-K 25A φ34

ベストパーツオリジナルの金属製の「片サドル(FKS-○○-K)」シリーズは、本体の材質と塗装は前述の桑名金属工業(旧日立金属)製片サドルと同じですが、色相は少し明るいJFE製ガスフレキの被覆と近似色になっています。

金属製の片サドルを使い分ける価値は低い

図3:ガスフレキ15A用の金属製片サドル2品番を比較すると、フィット感に大きな違いがあります。上が桑名金属工業(旧日立金属)製「片サドル(FKS-15-I)」、下がベストパーツオリジナルの「片サドル(FKS-15-K)」です。

桑名金属工業(旧日立金属)製の「片サドル(FKS-15-I)」(図3上側)とベストパーツオリジナルの「片サドル(FKS-15-K)」(図3下側)について、実際にガスフレキに取付けて比較しました。すると、同じ15A用であっても、実際にはめ込んだ時のフィット感に大きな違いを感じます。これは先端の深さによるものです。前者は先端が浅く設計されておりガスフレキの6割程度を押える仕様なのに対し、後者は先端が深くガスフレキの8割程度を挟み込む仕様です。ただし、どちらもビス止めすることでしっかり固定できるので固定力に差はありません。

以上のように2つの製品の間に大きい性能差が無いため、使い分ける価値は低いのではないでしょうか?例えば、「ソフレックス🄬」をお使いの方で被覆材の色を合わせたい施工業者様は桑名金属工業(旧日立金属)製をお使いいただき、そもそも隠ぺい部に使用するので色の微妙な違いは気にされない方や、それ以外のメーカーのガスフレキをお使いの方にはベストパーツオリジナルでコストダウンという具合に決め打ちすることをオススメいたします。

露出配管に使いたい金属製の両サドル

ガスフレキのズレを固定ダボで防ぐ桑名金属工業(旧日立金属)ソフレックス🄬の純正品「 FWSシリーズ」

図4:桑名金属工業(旧日立金属)製の「両サドル(FWS-〇)」シリーズは、片サドルと同様にSUS304の本体にエポキシ樹脂の粉体塗装を施しているので腐食に対して2重の構えと言えます。1袋(10個)から受注当日出荷しております。

品番 適合フレキ 内径 底面幅 ビス穴径
FWS-A 10A φ14 16mm φ4.3
FWS-B 15A φ18

「両サドル(FWS-〇)」シリーズは、「ソフレックス🄬」の被覆色と合う桑名金属工業(旧日立金属)の純正品です。あらかじめガスフレキを配管する場所にビス1か所で固定しておけば、あとからガスフレキをはめ込むだけで施工が完了する作業性の良さが特徴です。ガスフレキの凹部とバネ部の固定ダボがかん合することで、立配管でもズレない仕様になっています。なお、塗装はテクノフレックス製のガスフレキの被覆色とも近似色です。

PVC被覆がガスフレキをしっかり押さえるので25Aでも安心「HWSシリーズ」

図5:「両サドル(品番: HWS-〇)」シリーズは、PVC被覆を施しているので、ガスフレキの脱落はありません。1袋(10個)から受注当日出荷しております。

品番 適合フレキ 内径 底面幅 ビス穴径
HWS-A 10A φ15 16mm φ4.3
HWS-B 15A φ18
HWS-C 20A φ24
HWS-D 25A φ30

「両サドル(品番: HWS-〇)」シリーズの施工方法は、前述の「両サドル(FWS-〇)」シリーズと同じです。材質もSUS304製ですが、塗装工程を省いて販売価格を低減しています。この商品を使う利点は、25Aまでのガスフレキがしっかり固定できることが挙げられます。PVC被覆を施しているバネ部が、ガスフレキの被覆材と密着するため、施工後にガスフレキが配管方向にズレたり、外部の衝撃によって脱落する心配はありません。

金属製の両サドルは使い分ける価値がある

図6:ガスフレキ15A用の金属製両サドル2品番を比較すると、フィット感に大きな違いがあります。上が桑名金属工業(旧日立金属)製「片サドル(FKS-15-I)」、下がベストパーツオリジナルの「片サドル(FKS-15-K)」です。

桑名金属工業(旧日立金属)製の「両サドル(FWS-〇)」シリーズ(図6上側)は、バネ部分に固定ダボが片側2か所ずつの計4カ所あるため、ガスフレキの凹部にかん合してしっかり押さえられます。その上コンパクトな設計で露出配管でもスッキリ仕上げることができます。ただし、配管方向にはズレませんが、外部から衝撃が加わると外れやすいという感覚を受ける方も多いはずです。その点、「両サドル(品番: HWS-〇)」シリーズ(図6下側)は、バネ部分に装着しているPVC被覆が、ガスフレキの被覆材に密着してガッチりつかんで離さない印象です。よって、露出配管では「両サドル(FWS-〇)」シリーズ、隠ぺい部や露出であってもサイズが20A以上のガスフレキについては「両サドル(品番: HWS-〇)」シリーズという具合に使い分ける価値があります。ただし、「両サドル(FWS-〇)」シリーズのエポキシ樹脂の粉体塗装は、耐候性が低いというデメリットがあるので紫外線が照射する場所には使用できない点に注意が必要です。

まとめ

桑名金属工業(旧日立金属)製のガスフレキ「ソフレックス🄬」の純正品「片サドル(FKS-○○-I)」シリーズは、コンパクトなデザインに、耐食性、耐摩耗性に優れるエポキシ樹脂の粉体塗装を施している最高品質の商品ですから価格が高いのも納得です。ただし、隠ぺい配管する「ガスフレキ」の固定には、コストパフォーマンスに優るベストパーツオリジナル「片サドル(FKS-○○-K)」シリーズでも十分です。一方、露出配管する際は、美観に優る桑名金属工業(旧日立金属)製の「両サドル(FWS-〇)」シリーズを基本とし、20A以上については固定力が高い「両サドル(品番: HWS-〇)」シリーズという具合に使い分ける価値があります。

※この記事は2019年10月11日に公開しましたが、内容を変更し2024年11月7日に再公開しました。

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