「灯油壁抜きコック」を用いたFF式石油温風暖房機の買換え・増設ガイド

新築住宅にFF式石油温風暖房機を設置する際、適切な灯油供給システムの構築が不可欠です。通常、これにはΦ8被覆銅管を使った隠ぺい配管と灯油用アングルコック壁ボックスコックの組み合わせが必要です。しかし、機器の買換えや増設の場合、既存の設備や構造に合わせた柔軟な対応が求められます。本稿では、灯油漏れのリスクを抑えつつ、壁貫通施工を行う際の重要な部材である「灯油壁抜きコック(品番:SK-02B)」の特徴と利点を詳しく解説します。

PFD管

耐久性と安全性を兼ね備えた選択:灯油壁抜きコックの重要性

FF式ストーブは長期使用を前提としており、日本ガス石油機器工業会もストーブ本体の8年経過時の点検・取替を推奨しています。しかし、灯油配管のメンテナンスはどうでしょうか?灯油配管はしばしば機器自体より長期間にわたる使用が求められます。このような状況の中で、ベストパーツオリジナルの「灯油壁抜きコック(品番:SK-02B)」は、三菱電機クリーンヒーターの別売部材:VKZ-02Bの優れた系譜を継承しており、長期間にわたる安定した使用を可能にする高品質な設計で、施工業者にとって信頼できる選択肢として際立っています。この製品は、ストーブのパフォーマンスを最大限に引き出すだけでなく、長年の使用に耐えうる性能を有しており、安全かつ効率的な灯油供給システムの構築をサポートします。

高度な密封技術:スーパーコルクを採用した灯油壁抜きコック

FF式ストーブの灯油配管は、ポンプによるオイルの引き上げにより、シール部への圧力が比較的低いため、灯油の滲み漏れが懸念されます。この問題に対処するために、「灯油壁抜きコック(品番:SK-02B)」は、シール材として自動車産業でも信頼されているスーパーコルクを採用しています。このスーパーコルクは合成ゴム入りコルクであり、優れた耐油性、耐熱性、非透過性を持ちます。さらに、時間の経過と共に表面密着性が増すため、長期的な密封性が保たれます。加えて、耐油性Oリングが2箇所に設置されているものの、壁貫通部には適用されておらず、灯油漏れのリスクを最小限に抑える設計となっています。

柔軟な対応:最大260mmの壁厚に適応する灯油壁抜きコック

図1:屋外から屋内まではφ8の銅管をアルミ製のスリーブ(G3/8取付管)でカバーしています。

施工現場で直面する主な課題の一つは、壁の厚さの違いに対応することです。ベストパーツの「灯油壁抜きコック(品番:SK-02B)」は、最大260mmの壁厚に対応可能で、さまざまな建物に適用できます。屋外から壁内部への配管には、φ8の銅管をアルミ製スリーブ(G3/8取付管)で保護し、屋内外のフランジでしっかりと固定します。屋内側では、簡単にアングル型の灯油コックに灯油ホース(品番:TH-50)を差し込むだけで済みますが、屋外側では「リング式ソケット(品番:I-8)」の使用が必要です。送油管がφ10被覆銅管の場合には、φ10からφ8へのサイズ変換が可能な「リング式ソケット(品番:I-810)」を使用します。重要な点として、ロウ付けは避けるべきです。これは、フラックスの成分が灯油に溶け込み、ストーブの定油面器を損傷させるリスクがあるためです。また、ロウ付けによる過熱は内部の接合部を溶解させ、灯油漏れの原因になり得ます。

灯油壁抜きコック(品番:SK- 02B)

「灯油壁抜きコック(品番:SK- 02B)」は1本から当日出荷します。

品番 最大壁厚
SK-02B 260mm迄

壁の中で接続しない安心施工

  1. 開口部の設定:
    • 室内床面から35〜100mmの位置に、φ20〜φ22の開口を壁に作成。
    • 山型配管を避けるため、開口部を床面に近づける。
  2. スリーブと銅管の準備:
    • スリーブを壁厚より少し長めにカット。
    • 銅管をスリーブより約5cm長くカット。
  3. 室内フランジの取り付け:
    • 「灯油壁抜きコック」本体に室内フランジを通し、小ねじ3本で固定。
  4. コックの取り付け:
    • コックを横向きにして、室内側から壁穴に差し込み、木ねじ3本で固定。
  5. 室外フランジの固定:
    • スリーブに室外フランジを通し、六角ナットで室外側から固定。
  6. 雨水対策:
    • ガイドゴムをφ8銅管に取り付け、スリーブにはめ込む。
  7. 銅管の配置:
    • 銅管を壁面に沿うように曲げる。
  8. 配管の接続:

まとめ

本稿では、FF式石油温風暖房機の買換えや増設に際して、灯油壁抜きコック(品番:SK-02B)の利用の重要性に焦点を当てました。灯油壁抜きコックは、灯油漏れのリスクを最小限に抑えつつ、柔軟かつ安全な施工を可能にする重要な部材であることを詳しく解説しました。特に、自動車産業でも信頼されているスーパーコルクをシール材として使用することで、耐油性・耐熱性・非透過性を備えた高度な密封技術を実現し、さらには最大260mmの壁厚に適応できる柔軟性を提供します。また、安全な施工のための具体的な手順も紹介し、施工業者が直面する実際の課題に対する実用的なガイドラインを提供しました。この情報は、FF式ストーブの効率的かつ安全な運用を目指す施工業者にとって、貴重な知見となるでしょう。

※この記事は2020年12月29日に公開いたしましたが、校正しなおし2023年11月21日に再公開しました。

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室橋尚哉

1989年ベストパーツ株式会社(旧東北綜合器材株式会社)入社。分類は空調換気を担当。1963年生まれ。
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