
LPガスの新常識!ビルトインコンロへ直接ねじ込める外ねじ式ガス栓の活用
LP仕様のビルコンには外ねじガス栓を直接ねじ込む
2017年、経済産業省より「供給設備、消費設備及び特定供給設備に関する技術基準等の細目を定める告示第10条」が通達されました。これにより、LPガスの供給設備に関して「機器接続ねじガス栓は、ガス器具へ直接ねじ込む」という原則が定められました。
このルールにより、従来の「白ニップル+メスねじ自在型」接続は使用できなくなり、外ねじ式ガス栓を直接接続する方法が求められるようになりました。この変更は、施工業者やLPガス事業者にも広く認知され、現在では多くの現場で対応されています。しかし、現場によっては「直接ねじ込み」が難しいケースもあり、対応に悩まれることもあるようです。
ビルコンに使用できなくなった出口めねじガス栓の例
LPガスにおいては、ガス器具へ出口自在式の機器接続ねじガス栓を接続する際、「白ニップル」や「金属フレキシブルホース」などの接続具を使用せず、ガス栓を直接ガス器具へねじ込むことが義務付けられています。これまで「機器接続ねじガス栓」はテーパめねじ仕様が主流であったため、ガス接続口がおねじで設計されている給湯器などの場合、この新しい原則が適用された後も接続方法に大きな変更は必要ありませんでした。
しかし、ビルトインコンロのようにガス接続口がテーパめねじになっている機器においては、2017年の原則適用当初、いくつかの課題が生じました。当時は各ガス栓メーカーで外ねじタイプの機器接続ガス栓のラインナップが十分に整っておらず、さらにこの新しい接続方法の原則がLPガス業界全体に浸透していなかったことから、現場での混乱が見られたのです。特に保安の現場では、従来の施工方法との違いに戸惑う声も少なくありませんでした。現在では、各メーカーから外ねじタイプのガス栓が充実しており、業界内でもこの原則が広く認知されるようになっていますが、当初の混乱は、技術基準の改正と現場への浸透速度のギャップによるものだったと言えるでしょう。
商品コード | 配管接続 | 接続口径 |
GB363Z5-10A | 10A | 10A×Rc1/2自在 |
GB363Z5-15A | 15A | 15A×Rc1/2自在 |
接続具を使わずにビルコンに直接ねじ込む外ねじガス栓のモデル
ベストパーツで最も売れている機器接続外ねじ式ガス栓
直接ねじ込みの原則が適用された2017年当時、「機器接続外ねじ式ガス栓」のラインナップは数機種程度、各製造メーカーの方でございました。当初はその外ねじ式ガス栓が施工に携わる方々から注目され、現在でもビルトインコンロ施工時の主流ガス栓として使用されている機種も多いです。しかし一部の施工現場では当初のラインナップでは外ねじ部分の長さが足りずにビルトインコンロの接続口まで届かない、また反対に設置場所が狭所の為、ガス栓が大きすぎて収まらない等の問題も出てきました。こうした現場の方からの声を受け、各ガス栓メーカーで「機器接続外ねじ式ガス栓」のラインナップが拡充されてきて今日に至ります。
商品コード | 配管接続 | 接続口径 |
GB374PZR5-10 | 10A | 10A×R1/2自在 |
GB374PZR5-15 | 15A | 15A×R1/2自在 |
外ねじ部分が短い機器接続外ねじ式ガス栓
従来よりも外ねじ部分を短くした外ねじガス栓の藤井合金製作所製「検査孔付フレキUL外ねじガス栓(商品コード:FV696AQ・FV698AQ)」は2019年に藤井合金製作所から発売され業界で認知されています。この外ねじ部分が芯々で83.5mmの長さの外ねじガス栓の登場により、狭所での施工に関する問題点の大半は解消されたと思われますが、しかしながら、このタイプのガス栓の登場でも解決しない問題点も多少残りました。
商品コード | 全長 | 配管接続 | 接続口径 |
FV696AQ | 101.5mm | 10A | 10A×R1/2自在 |
FV698AQ | 15A | 15A×R1/2自在 |
鉄管配管にも対応する元ねじ自在の機器接続外ねじガス栓
従来の外ねじガス栓は「ガスフレキ」を直接差込むプッシュインパクトタイプのフレキUIねじガス栓・フレキULねじガス栓でのラインナップが大半を占めています。ガスフレキ配管が増えている昨今、プッシュインパクトタイプのラインナップが豊富なことは非常にうれしい点ですが、既存の鉄管配管を生かしてビルトインコンロにガス栓を接続する場合には別途継手や配管材を用意しないと対応できないという問題もありました。これに対応すべく誕生したのが配管側がRcねじで、機器側がRねじのタイプの外ねじ式ガス栓です。
商品コード | 高さ | 接続口径 |
FV684B | 81.3mm | Rc1/2×R1/2自在 |
ビルコン入替に威力を発揮するUTICシリーズ
UTICブランドで知られる高橋産業製の機器接続外ねじ式ガス栓は、機器入替え現場で役に立つ特徴を持つモデルが多数存在します。
下からの立ち上がり配管にも対応できるUI外ねじガス栓
ビルトインコンロのガス配管は壁側から「ガスフレキ」を貫通させ、ビルトインコンロのガス接続口の真下でUL外ねじ式ガス栓に「ガスフレキ」を接続し、ガス栓の外ねじを真上のガス接続口にねじ込むという施工がセオリーですが、現場によっては床側から鉄管でガス配管が立ち上がっているケースもあります。その場合にガス栓1つでビルトインコンロに接続できるのがUTICの「UTIC-301 UI外ねじガス栓シリーズ」です。配管側・機器側双方がねじのタイプの外ねじガス栓で外ねじ部分の長さ違いのラインナップが複数あるUTICのUI外ねじガス栓。設置状況に最適な長さを選べるよう、外ねじ部分の長さの違いで最長150mmまで直接接続が可能なラインナップを用意しています。
商品コード | 全長 | 接続口径 |
UTIC-301-50 | 83mm | Rc1/2×R1/2自在 |
UTIC-301-80 | 110mm | |
UTIC-301-100 | 130mm | |
UTIC-301-150 | 180mm |
外ねじ部分の長さが必要な場合でも対応可能なUL外ねじガス栓
「UTIC-303 UL外ねじガス栓シリーズ」は、藤井合金製作所の「検査孔付UL外ねじガス栓(品番:FV684B)」や光陽産業の「検査孔付UL外ねじガス栓(品番:G364P-1/2)」と同じく、配管側がRc1/2になっている鉄管配管にも対応した商品です。特筆すべきは、材質が黄銅より安価な亜鉛でできていてコスパが高い点と、外ねじ部分の長さが最長150mmまで直接接続できる点です。「UTIC-303 UL外ねじガス栓シリーズ」は既存配管が鉄配管の場合に使用しますが、現場でガスフレキに変更になった場合に片ねじソケットを取付て施工する事もできます。
商品コード | 全長 | 接続口径 |
UTIC-303-53 | 69mm | Rc1/2×R1/2自在 |
UTIC-303-80 | 96mm | |
UTIC-303-100 | 116mm | |
UTIC-303-150 | 166mm |
まとめ
「供給設備、消費設備及び特定供給設備に関する技術基準等の細目を定める告示第10条」の通達から数年の時が経ち、各ガス栓メーカーで「機器接続外ねじ式ガス栓」の選択肢は豊富になりました。中でも、機器入替え現場では、自在ニップル部の長さが150mmまで選べる「UTIC-301 UI外ねじガス栓シリーズ」と「UTIC-303 UL外ねじガス栓シリーズ」がとても便利なので一度お試しください。
※本稿は2022年10月12日に公開し、新たに規格を追加して2025年2月6日に再度公開いたしました。

楠功央

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