部品交換ができメンテナンス性に優れたソーワエンジニアリングの暖房用熱動弁
※この記事は2020年4月7日に公開したものですが、校正し直し2021年12月7日に再公開しました。
配管を触らずアクチュエーターと弁体だけを交換できる
熱動弁に採用されているオンオフ制御には、“オーバーシュート”と“アンダーシュート”を繰り返す「ハンチング」を起こし、制御量が一定にならないという欠点があります。しかし、温水温度の制御に限ればそれほど大きい問題ではなく、むしろメンテナンス頻度を下げるメリットを評価され、世界中で熱動弁が当たり前に採用されています。とはいえ、「アクチュエーター部」の劣化や、「バルブ部」内の弁に異物が詰まり、そして作動回数が累積すれば弁の摩耗による止水不良が発生します。
これまで一般的な熱動弁は、「バルブ部」のストローク長と「アクチュエーター部」の作動距離を合わせるために一体化されているため、どちらか一方の不調であっても丸ごと交換しなければなりませんでした。
本体上部に熱動弁接続用のおねじが設定されているHAC-110専用バルブ
「HAC-110専用バルブ(品番:VAL152、VAL202)」は、温水暖房回路でアクチュエーター(品番:HAC-110)と組合わせて使用することを前提に作られています。よって、本体上部には熱動弁接続用のおねじ(呼び M:M30X1.5)が設けられており、手締めナットで取り付けられます。バルブは常時開放状態にあり、アクチュエーターを取り付けるとバルブ内部の弁受けに弁(コックアッシ)を押しつけ閉止し、アクチュエーターに通電すると開放状態になります。よって、万が一アクチュエーター(品番:HAC-110)が故障した場合は、取り外していただくことで強制的にバルブを開放して温水を循環させて緊急対応することができます。
品番 | 口径 |
VAL152 | Rc1/2 |
VAL202 | Rc3/4 |
流体圧力は1.0MPa、差圧は0.1MPaまで対応
「HAC-110専用バルブ(品番:VAL152、VAL202)」は、流体圧力1.0MPa、差圧0.1MPaまで対応しているので多くの温水暖房システムに使用できます。逆に言えば、この範囲を超えると微少漏れを起こします。微小であっても、流れて欲しくないゾーンに流れることはユーザーの快適性を損ないかねませんので注意が必要です。
アクチュエーターだけを交換できる
熱源機メーカーの純正部品として長年採用されているソーワエンジニアリング社の「アクチュエーター(品番:HAC-110)」は、熱動弁接続用のおねじ(呼び M:M30X1.5)に手締めで取付けられるように設計されているので、入り組んだ配管であっても取付取外しが容易です。
品番 | 消費電力 | コード長 |
HAC-110 | 5W | 100cm |
ダメージを受けやすいバルブ内の弁(COKASSY)だけを交換できる
常時圧力がかかる熱動弁の止水構造は、水栓金具に用いられることが多いグローブ型が一般的です。弁(コックアッシ)を弁受けに押し付けて止水する仕組みなので、開閉作動の累積によって弁が摩耗すると止水能力が低下するのでメンテナンスが必要です。
その点、HAC-110専用バルブ(品番:VAL152、VAL202)であれば、バルブ部の上部にある六角ナットを外して弁体部分「コックアッシ(品番:COCKASSY)」だけを交換できるのでメンテナンスにかかる時間と費用を削減できます。ゴミ噛みなどの解消もこの手順で実施してください。
品番 | 適合 |
COCKASSY | VAL152・VAL202 |
まとめ
温水暖房システムに用いられる熱動弁は、オンオフ制御だけなので寿命の長い部品です。それでも「アクチュエーター部」の故障、「バルブ部」の弁(コックアッシ)の摩耗や異物の詰まりなどが発生した場合は、丸ごと交換しなければならず大掛かりな交換工事が発生します。その点において、ソーワエンジニアリング社の熱動弁であれば「アクチュエーター(品番:HAC-110)」と「HAC-110専用バルブ(品番:VAL152、VAL202)」が分割できるのでメンテナンス性に優れています。
大宮彰大
最新記事 by 大宮彰大 (全て見る)
- 複雑な間取りにも対応する床暖房システム『キュア真打』 - 2024年4月1日
- スペースと予算を節約!CALEFFIの高性能コンパクト圧力計の魅力 - 2024年3月22日
- 広範囲に冷温水を効率的に循環させる【小型温水循環ポンプUPS】 - 2024年3月13日