最新!温水暖房用架橋ポリエチレンパイプの選び方
その意味でも、「人に触れる部分は木などのサステナブルな素材」を積極的に採用しつつ、「バックヤードでは配管や固定金具などから腐食する恐れがある素材」を排除することで、長期的に快適性が維持できる住宅づくりに取り組まなければなりません。
以上の観点から、腐食の恐れがない温水暖房用配管である架橋ポリエチレンパイプの選び方を4つのポイントから押さえておきましょう。
温水暖房用架橋ポリエチレンパイプをチェックするときのポイント
隠蔽部に採用されるパイプや継手は、イニシャルコストが秀でたモデルより長期間性能を維持できるモデルを重視したいものです。
1.耐久性
隠蔽配管に使われる架橋ポリエチレンパイプのチェックポイントの筆頭は、耐久性。これは試験成績で分かると言いたいのですが、現実は環境に左右されるため実績に勝るものはありません。
私たちベストパーツでは、日本で一番最初に架橋ポリエチレンパイプを開発した三菱ケミカルインフラテック社製品をオススメしております。なぜなら、国内における採用期間が最も長いことは、JIS規格対象外の暖房や追焚き用架橋ポリエチレンパイプにおいては非常に大切なポイントだからです。
現に、三菱ケミカルインフラテック社製品は、大手ガス会社や機器メーカーなどにおいても常にシェアNo.1。国内市場でもっと実績があるうえに品質とコストのバランスがいいと高く評価されているのです。
ちなみに、弊社のラインナップにはFHという硬質でメカ式継手しか使えないタイプとソフトという軟質でタケノコ式継手も使えるタイプの2種類ありますが、寿命はどちらも同じです。
2.断熱性
長期的に快適性が維持できる住宅には暖房設備も熱源器で生み出した熱を効率よく住宅内に搬送することが必須です。
架橋ポリエチレンパイプの主たる材料のポリエチレン単体での熱伝導率は0.410W/m・Kにもなりますが、写真のような断熱材付きにしますと熱伝導率は0.046W/m・k程度に抑えることができます。
しかし、写真のようなメガネ形状の「ペアチューブ」の場合は、貫通スリーブ径が大きくなってしまうため、戻り側をできるだけ低温にした方が一次エネルギー消費量が削減できる熱源機じゃなければ、以下のような形状の「高断熱エクセルパイプコア」という商品をオススメします。
断熱材でチェックしたい項目は、見かけ密度、引張り強度、最高使用温度、そして前述の熱伝導率の4項目。特に最高使用温度は、架橋方法で最高使用温度は70℃から120℃まで大きく差が開きますのでしっかり確認してください。
断熱材は水分を含みながら年々縮んでいくものです。施工する際も断熱材側を少し長めにしておくと後々安心です。
3.更新性
長寿命化する住宅に合わせて、暖房設備も長期間使えるものではなくてはなりませんが、流体が通る配管は必ず更新しなければなりません。
マンションなどの集合物件は、すでにサヤ管を用いて更新性をもった配管をしているところが多くあります。
しかし、サヤ管には断熱性能が付与されておらず、熱源器から放熱端末までの搬送時に放熱ロスが増えてしまいます。
そこでおすすめしたいのが「更新可能サヤ管」です。サヤ管の周りに厚さ10mmの断熱材が巻かれており、断熱性と更新性の両立が可能です。ただし、残念なのが現在のラインナップでは架橋ポリエチレンパイプ7Aと10Aまでしか通管できるサイズがないことです。今後の拡充に期待したいところです。
4.酸素透過性
長期保障住宅では設備も長期間使用できる製品の採用が増えると考えられます。
鉄製パネルラジエータは温水暖房設備で最も長い期間使用できる放熱端末ですが、酸素透過しにくい配管でなければ腐食してしまいます。
酸素透過がほぼゼロの配管の代表は銅管で、長年使われてきている実績のある配管材料ですが、架橋ポリエチレンパイプと比べるとロウ付などの施工技術が必要になるため、最近では敬遠されることが多くなってきました。
その代替えとして採用が増えているのは、金属強化ポリエチレン管と架橋ポリエチレンパイプ同様の施工性で酸素透過の少ないO2ストップパイプです。
架橋ポリエチレン管の外層と内層の間にO2バリアフィルム層を設け、酸素透過を40℃通湯時で0.1mg/L・D以下に抑えています。通常の架橋ポリエチレンパイプは40℃通湯時9.7mg/L・D程度ですので1/100程度まで酸素透過を防ぐことができます。
O2ストップパイプにも「高断熱エクセルパイプコア」タイプをラインナップしていますので、開口部をより少なくしたい物件に是非お使いください。
まとめ
今回は4つのポイントで暖房用架橋ポリエチレンパイプ選びを紹介しました。ベストな温水暖房システム設計の一助になればと思います。
ご意見、ご質問はお気軽に。
大宮彰大
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