マンションでのエコキュートタンク固定にはケミカルセッターが便利です
今回は「マンションのエコキュート入替工事をしていますが、設置スペースや条件によって打ち込みアンカーが使いにくい場合があります。オススメの方法はありますか?」というご質問を頂戴しましたので、それについて実際の現場で行った方法を元にお答えしていきます。
現在、15~20年前に建てられたマンションに設置されている電気温水器が古くなったため、エコキュートに交換したいというニーズが高まっております。その際問題となるのが「古い機器と新しい機器のアンカーピッチが違う」という事です。既存のアンカーをそのまま生かして取り付けが可能なケースはごく稀で、ほとんどの場合は新たにタンクを固定するためのアンカーを打つ必要があります。また、重量のあるタンクをしっかりと固定するために、一部のマンションでは規定で「ケミカルアンカーを使用する」ことが義務付けられている場合もあります。
新築の現場とは違い様々な状況が考えられるマンション入替現場の場合、どんなシチュエーションでも対応できる汎用性の高いものが適していると考えられます。そこで今回現場で使用したのが「ARケミカルセッター」です。
ARケミカルセッターとは
旭化成で製造されているケミカルアンカーの一種です。特徴は
・液ダレしにくく壁面や天井面でも安心して使用できる
・丸棒以外のボルトやインサートなどにも使用できる(カプセル型ではできない場合が多い)
・穿孔径が自由で、設計荷重は穿孔長で決められる
・全サイズのアンカーボルトをこれ一つでカバーできる
・経年変化がほぼ無い
など、打込み系アンカーやカプセルタイプのケミカルアンカーにはない優れた汎用性が特徴です。デメリットは回転・打撃タイプのカプセルアンカーと比較して若干固着力が落ちる事や水中での施工ができない事くらいですので、一般的な使用方法では全く問題のないレベルですね!サンコーテクノ様の製品紹介動画がありますので、施工方法等含めこちらでご確認頂ければと思います。※ケミカルボルトやイーグルアンカーは必須ではありません。
EA-Sタイプはお手持ちの一般的なコーキングガンが使用できるため、入門用には最適です。ただし容量が150㎤と少ないため、連続使用する場合が多ければ、EA-500タイプ(容量500㎤)がオススメです。但し専用のコーキングガン(ディスペンサー)が別途必要となりますのでご注意ください。
実際の現場では?
今回の現場(M社製エコキュート1缶式370リットル)では、W3/8の全ねじを90㎜にカットしたものを使用しました。穿孔径は12㎜、穿孔長は50㎜で施工しました。
まずはハンマードリルで下穴を開けます。下穴を開けた後は一般的にダストポンプで切粉を排出しますが、今はマキタさんなどで販売しているハンディクリーナーを使って孔内清掃する方も多いようです。
孔内の清掃が終わったら、カートリッジガンにケミカルセッターを装着し適量注入していきます。非常に簡単です。その後カット済みの全ねじボルトを挿入します。使い終わったケミカルセッターのノズルは、ビニールテープなどで密閉する事を忘れずに!乾いてしまったらミキシングノズルごと交換になってしまいますのでご注意願います。
あとは乾くのを待つだけです。気温20℃での環境では硬化まで約30分と短時間で済みますので、その間に他の作業を片付ければ非常に効率の良い仕事をして頂けます!
硬化が完了したら、エコキュートの脚をボルトに固定しタンクを載せればタンク設置完了です。W3/8の全ねじボルトでM12の打ち込みアンカーと同等以上の引張強度が確保できるのは魅力ですね!
まとめ
近年、需要が増えているのが“入替”の現場。個々の現場で状況が全く違う為、施工には様々なノウハウが必要になりますが、どんな現場でも使用可能な汎用性の高い「ケミカルセッター」などを使う事によって、作業効率のアップや使用部材の削減なども図りながら様々なシチュエーションに対応して頂けます。
ベストなパーツでは、施工業者様の住宅設備部材に関する疑問やお困りごとの解決のお手伝いをさせていただきます。
佐々木 克仁
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