エコキュート連絡配管の新たな選択肢。「エコユニーク」がもたらすメリットとは?
保温材だけではなく配管自体にも耐候性を付与
エコキュートの多くは屋外に設置されるため、貯湯タンクとヒートポンプを結ぶパイプ(連絡配管)も露出が一般的です。したがって、紫外線劣化防止対策が必須となり、多くの場合保温材の表面に耐候性のフィルムを貼ることで「高耐候性仕様」とされた配管材料が使用されています。一方で、パイプ自体に耐候性を持たせたブリヂストンの「エコるーぷ」を採用しているという施工業者様はまだまだ少ないのが現実です。確かに架橋ポリエチレン管やアルミ三層管と比較すると優れた性能を有する一方、価格が高すぎると不満に感じている施工業者様も多いのではないでしょうか。そこで活用したいのが今回ご紹介する「エコユニーク」です。
パイプは二層仕様の架橋ポリエチレン管
「エコユニーク」は、外層にカーボンブラックを添加し、耐候性に優れた二層仕様の架橋ポリエチレン管と、同様に耐候性が付与された保温材で構成されています。そのため、従来の樹脂管では屋外配管に使用する際に遮光処理が必要でしたが、エコユニークならそのまま屋外で使用することができます。パイプの物性は一般的な架橋ポリエチレン管(JIS K6769 PN15)に準拠しており、同等程度と言えますが、エコユニークはエコキュートの連絡配管と追い焚き配管に特化していますので、その用途に限定される点をご了承ください。
最高使用圧力と温度
使用温度(℃) | 0~20 | 21~40 | 41~60 | 61~70 | 71~80 | 81~90 | 91~95 |
最高使用圧力(MPa) | 1.50 | 1.25 | 0.95 | 0.85 | 0.75 | 0.70 | 0.65 |
「エコユニーク」の最高使用温度は95℃となっています。近年のエコキュートの沸き上げ温度は通常90℃以下とされているため、スペック的には問題ないと言えます。
タケノコ継手でも耐圧・破壊試験とも問題なし
試験項目 | 試験方法 | 判断基準 | 試験温度 | 試験結果および試験状況 |
耐圧試験(JIS K 6770) | 継手に長さ250㎜以上の管を接続して常温で2.5MPaの水圧を加えて2分間保持する | 管の抜け、漏れ、その他に異常がないこと | 常温 | 管の抜け、漏れ、その他の異常なし |
耐圧破壊試験 | 継手に長さ250㎜以上の管を接続して管または継手が破壊するまで水圧を加える | 管の破断まで、管の抜け、漏れ、その他の異常がないこと | 常温 | 5.5MPaにて管と継手の接続部より管が抜けた。 |
耐圧破壊試験 | 継手に長さ250㎜以上の管を接続して管または継手が破壊するまで水圧を加える | 管の破断まで、管の抜け、漏れ、その他の異常がないこと | 95℃ | 1.8MPaにて管が破裂した |
タケノコ継手では耐圧能力に不安があるといった声もありますが、正しく差し込みがされていれば問題ないという試験結果が示されています。施工の際は必ずスムーサーを用いてください。
最小曲げ半径
サイズ | 10A |
最小曲げ半径(㎜) | 150 |
最小曲げ半径はサイズ10AでR150㎜と一般的なPEXと同等です。それ以上のRを付けるとトラブルの原因となる可能性があるため、曲げる際は充分に注意して施工してください。
R150以上であれば管の耐圧能力は直線時と変わらない
試験項目 | 試験方法 | 判断基準 | 試験温度 | 試験結果および試験状況 |
管曲げ耐圧破壊試験 | 継手に長さ250㎜以上の管を曲げR150に固定して接続して管または継手が破壊するまで水圧力を加える | 管の破断まで、管の抜け、漏れ、その他に異常がないこと | 95℃ | 1.8MPaにて管が破裂した |
曲げ半径がR150㎜以上あれば、直線時と変わらない耐圧能力が確保されています。
耐候性試験評価
パイプ
試験条件 | 試験結果(呼び径サイズ13) | |
耐候性試験(アイスーパー) | 10年相当照射 | 外観上、割れ等の著しい劣化なし |
保温材
試験条件 | 引張試験結果 | |
耐候性試験(サンシャインウェザーメーター) | 3,000h照射 | 引張強度保持率50%以上 |
10年相当の耐候性試験後の変化(破壊水圧:MPa)
管種 | 試験前 | 試験後 |
エコユニークシングルパイプ | 5.0MPa | 5.0MPa |
邸別管理に便利な「エコユニーク」のヒートポンプ配管セット
品番 | 配管長 | 規格 |
ECO-EUS3T | 3m | 10Aペア×1本 タケノコ継手(セット)×4 継手用保温材×4 |
ECO-EUS10T | 10m | 10Aペア×1本 タケノコ継手(セット)×8 継手用保温材×8 |
エコキュート連絡配管の接続に必要な部材を1つにまとめたのが、他の管種でもおなじみの配管セット。1セットに付き1台もしくは2台の取付が可能なので、取付工事の頻度がそう多くないという場合や邸別で管理したい場合は特にオススメです。セット内容はペアになったパイプと往き戻りのタケノコ継手セット、そして継手用保温材と必要最低限なものになっています。エフケーブルも必要な分だけ欲しいという場合は他の管種の配管セット(アルミ三層管/架橋ポリエチレン管/フッ素ホースエコるーぷ)からお選びください。
長尺品はシングルの50mが標準仕様
品番 | 全長 | 規格 |
EU1010S-50M | 50m | 10Aシングル(内径φ9.8×外径φ16) 被覆厚10㎜ |
エコキュート取り付け工事の量が多い場合には、配管セットではなくこちらの「50m巻タイプ」がオススメです。そのメリットは、樹脂管であるため軽量で持ち運びが容易であることと、価格が配管セットと比較して安価な点です。したがって、集合物件などで複数台を連続で取り付ける場合に特に有効です。ただし、貯湯タンクとヒートポンプが部屋を跨ぐ場合は、より柔軟で配管作業が容易な「エコるーぷ」を使用してください。
継手はコスパ重視のタケノコ仕様
品番 | 規格 |
BRH4-10 | G1/2×10A |
ワンタッチ継手と比較して、抜け防止にシンプルなバンドを用いるタケノコ継手はコストを抑えることができます。このタケノコ継手と追い焚き配管用や温水暖房用のタケノコ継手との相違点は、タケノコ形状に加えて、パッキンに高耐熱仕様の「クリンシルトップ」を採用していることです。これにより、高温になるエコキュートの連絡配管にも安心してご使用いただけます。なお、くれぐれもタケノコ継手をご使用の際はスムーサーをご使用ください。
まとめ
エコキュートのヒートポンプと貯湯槽を繋ぐ連絡配管の新たな選択肢として「エコユニーク」が発売されました。継手にタケノコ式を採用し、パイプにポリ2層管の技術を応用するなど、これまでと異なるアプローチで性能を維持しつつコストを抑えることに成功しています。最大の特徴は、保温材に加えて配管自体にも耐候性を持たせ、紫外線劣化による漏水リスクを大幅に低減した点です。これにより、屋外での露出配管が一般的なPEXよりも安心して施工できるようになりました。ただし、エコキュートへの使用は機器メーカー各社の考え方によって異なりますので、使用の可否についてはエコキュートメーカー各社へお問い合わせください。
佐々木 克仁
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