旧規格と現行規格のポリブテン管どうしを接続する「配管リフォーム用継手」
旧規格ポリブテン管の識別と変換方法
リフォーム現場では、旧JIS規格品とASTM規格品のポリブテン管がまだ広く使用されています。これらの旧規格管を正確に識別し、現行のJIS規格品の樹脂管に適切に接続するためには、以下のステップが必要です。
旧JIS規格品の識別方法
既設配管の印字から確認する
旧JIS規格品のポリブテン管は、管に印字された情報を確認することで識別できます。特に、製造年度や規格番号が重要な手がかりとなります。
既設配管の内径を計測する
内径の計測も有効な方法です。1997年改定後まで流通していた旧JIS規格品は表2の通り特定の内径サイズを持っており、これにより現行規格品やASTM規格品と区別が可能です。
表2:旧JIS規格品の管径
呼び径 | 外径 | 厚さ | 内径 | 外径範囲 | 内径範囲 |
10J | 13.0±0.2 | 1.5+0.4-0 | 9.6±0.6 | 12.80~13.20 | 9.00~10.20 |
13J | 17.0±0.2 | 2.0+0.4-0 | 12.6±0.6 | 16.80~17.20 | 12.00~13.20 |
16J | 22.0±0.2 | 2.4+0.4-0 | 16.8±0.6 | 21.80~22.20 | 16.20~17.40 |
20J | 27.0±0.25 | 2.4+0.4-0 | 21.8±0.65 | 26.75~27.25 | 21.15~22.45 |
表3:現行JIS規格の管径
呼び径 | 外径 | 厚さ | 内径 | 外径範囲 | 内径範囲 |
10J | 13.0±0.15 | 1.6±0.2 | 9.8±0.25 | 12.85~13.15 | 9.55~10.05 |
13J | 17.0±0.15 | 2.1±0.2 | 12.8±0.25 | 16.85~17.15 | 12.55~13.05 |
16J | 22.0±0.15 | 2.6±0.2 | 16.8±0.25 | 21.85~22.15 | 16.55~17.05 |
20J | 27.0±0.15 | 2.9±0.2 | 21.2±0.30 | 26.85~27.15 | 20.90~21.50 |
表4:ASTM規格品の管径
呼び径 | 外径 | 厚さ | 内径 | 外径範囲 | 内径範囲 |
13A | 15.9±0.2 | 1.6+0.4-0 | 12.7 | 15.7~16.1 | 11.7~12.9 |
18A | 22.2±0.2 | 2.0+0.4-0 | 18.2 | 22.0~22.4 | 17.2~18.4 |
ASTM規格品の識別方法
既設配管の印字から確認する
既設配管に印字されたロット表示の末尾に「A」マーク(例:PL13A)があればASTM規格品と識別できます。
継手の外観から確認する方法
既設配管に使用されている継手の外観を観察することが、ASTM規格品か新旧JIS規格品かを判断する重要な手がかりとなります。特にブリヂストン製の継手の場合、キャップの色に注目することで規格を識別できます。もし既設配管に接続されている継手が「プッシュロック」タイプで、キャップの色がブラウンやグレーであれば、それはASTM規格品であると特定することができます。
表5:ブリヂストン社製継手のキャップの色
継手の名称 | 継手のキャップ色 | 既設配管の規格 |
プッシュロック | ブラウン or グレー | ASTM規格管 |
プッシュロック | ホワイト | 旧・現行JIS規格管 |
プッシュロックⅡ | 現行JIS | |
プッシュマスター | 現行JIS |
変換継手の選択と使用
旧JIS規格品やASTM規格品のポリブテン管を現行JIS規格の樹脂管に接続するためには、特定の変換継手が必要です。これらの継手は、異なる規格間のサイズと接続要件に対応するよう設計されており、確実な接続を実現します。
旧JIS規格のポリブテン管と現行規格の樹脂管を接続する
旧JIS規格のポリブテン管から現行規格の樹脂管への接続には、配管リフォーム用継手が最適です。これらの継手は、さまざまなサイズの旧規格管を現行のポリブテン管や架橋ポリエチレン管に適合させるように設計されています。この汎用性により、リフォーム作業の効率性と信頼性が大きく向上します。
配管リフォーム用継手(品番:NCRH13JX13A)
品番 | 既設管 | 新設管 |
NCRH13JX13A | PB13(旧・現行規格)
PEX13(PN15 /XM種) |
PB13
(JIS K6778) |
NCRX13J13AXE | PEX13 E種 JIS K 6769(PN15/XE種) JIS K 6787(XE種) |
PB13
(JIS K6778) |
NCRH16JX16J | PB16(旧・現行規格) | PB16
(JIS K6778) |
NCRH16JX16A | PEX16(PN15/XM種) |
ASTM規格のポリブテン管を現行JIS規格の樹脂管と接続する
ASTM規格のポリブテン管を現行JIS規格の樹脂管に接続する際、インチサイズからメートルベースへの変換を実現する特殊な継手が必要となります。商品名の通り銅管を樹脂管に変換する目的で設計されたこの継手は、銅管と同じASTM規格を採用するポリブテン管にも対応可能です。具体的には、銅管φ15.88またはASTM規格のポリブテン管13A(外径15.9±0.2mm)を現行樹脂管13Aに接続する継手は「NCH13JJX15A」、銅管φ22.22またはASTM規格のポリブテン管16A(22.2±0.2mm)を現行樹脂管16Aに接続する継手は「NCH16JX20A」、銅管φ22.22またはASTM規格のポリブテン管16A(22.2±0.2mm)を現行規格の樹脂管13Aに接続する継手は「NCH13JX20A」という具合です。これにより、異なるサイズや規格の管を確実に統合し、リフォーム作業の幅を広げることができます。
銅管変換継手(品番:NCH13JX20A)
品番 | 呼び | 銅管(ASTMPB)呼び | L |
NCH13JJX15A | 13A | 15.88(13A) | 63.4 |
NCH13JX20A | 13A | 22.22(18A) | 64.9 |
NCH16JX20A | 16A | 22.22(18A) | 67.1 |
まとめ
給湯器などの機器交換作業時、既設のポリブテン管に手持ちの継手が合わない経験はありませんか?このような問題を解決するのがブリヂストンの「配管リフォーム用継手」です。特に、1997年以前に製造された既設管の場合、現行のJIS規格品との公差や肉厚の違いから一般的な樹脂管用継手が使えません。旧JIS規格のポリブテン管には「配管リフォーム用継手」、ASTM規格の管には「銅管変換継手」が最適です。これらを使用することで、それぞれの管を現行JIS規格のポリブテン管に確実に接続できます。旧規格品がまだ広く使われている現場では、これらの継手を常備することを強く推奨します。
※この記事は2022年8月31日に公開されたものですが、新商品を追加して2024年2月6日に再度公開しました。
佐々木 克仁
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