貯湯式給湯器の減圧弁と安全弁は必ず一緒に交換しましょう!
減圧弁と安全弁にかかる負荷は大きい
減圧弁は貯湯タンクへ流れる給水圧力を低く抑えることが目的です。時には最大750kPaもの給水圧を80kPaにまで減圧します。安全弁は100℃に迫る高温水が流れ続け、圧力が高くなればお湯を放出します。このように減圧弁と安全弁のどちらもが、常に厳しい環境にさらされているのです。
減圧弁と安全弁は必ず一緒に交換すべし!
減圧弁と安全弁を同時に交換することをオススメする理由は2つあります。
減圧弁と安全弁、どちらの不具合かを事前に把握できない
減圧弁と安全弁の不具合で一番多い症状は「安全弁から水が漏れ続けている」というものです。この症状だけでは減圧弁と安全弁どちらの不具合か判断できかねます。なぜなら、減圧弁の不具合で設定圧力より高い給水圧が貯湯タンクに掛かり安全弁から水が漏れ続ける場合もあるからです。不具合の原因を判断するためには、安全弁の前に減圧弁を交換する必要があります。
減圧弁と安全弁、いずれも負荷が大きいので劣化している
冒頭でも触れたように減圧弁と安全弁には常に大きい負荷がかかっています。減圧弁の交換でその場は解決しても、同じ期間使用している安全弁の寿命も近いことが想定されます。度重なる施工の手間や、ユーザー様を不安な気持ちにさせないためにも一緒に交換することが大切です。
設定圧力は給湯器の仕様に合わせて選定する
貯湯式の石油給湯器の多くには減圧弁80kPa、安全弁95kPaが採用されています。しかし給湯器の仕様に合わせて必要とする圧力が異なるので、選定する際には給湯器の工事説明書に記載のある圧力設定の減圧弁、安全弁を確認することが大切です。選定する際、設定圧力は「減圧弁<安全弁」となるようにしてください。減圧弁より安全弁の方が設定圧力が低いと常時安全弁から水が放出され続けてしまいます。直圧式給湯器でも給湯器自体の許容圧力に給水圧が近い場合は減圧弁のみ使用することがあります。
減圧弁は減圧以外の3つの機能も備えている!
減圧弁は貯湯タンクの許容圧力以下に給水圧を常時減圧しています。給湯器を給水圧から守る減圧弁には「減圧」という主目的の他に3つの機構も備えています。
内蔵ストレーナーでゴミの流入を防ぐ
一次側の入り口にはメッシュのストレーナーが内蔵されており、配管内の錆や異物の二次側への流入を防ぎます。もちろん取り外して掃除することもできます。
逆止弁内蔵で給湯器からの逆流を防ぐ
二次側への出口には逆止弁が内蔵されており、給湯器の異常による一次側への逆流を防ぎます。
水抜き機構内蔵で凍結を防ぐ
冬に長期間、給湯器を使用しない場合の凍結対策として寒冷地仕様の減圧弁には水抜栓があり、減圧弁の中の水を配管外に排出することができます。一般地・寒冷地兼用タイプには減圧弁内部の水を一次側に戻す簡易水抜機能が備えられています。
ダンレイ 減圧弁(寒冷地・一般地兼用)
品番 | 最高一次側圧力 | 設定圧力 | ねじ |
RJ2002AZ80 | 750kPa | 80kPa | Rc3/4 |
RJ2002AZ85 | 85kPa | ||
RJ2002AZ100 | 100kPa | ||
RJ2002AZ120 | 120kPa |
ヨシタケ 減圧弁(寒冷地仕様)
品番 | 最高一次側圧力 | 設定圧力 | ねじ |
GD56R-80 | 750kPa | 80kPa | Rc3/4 |
GD56R-100 | 100kPa | ||
GD56R-120 | 120kPa | ||
GD56R-200 | 200kPa |
減圧弁(寒冷地仕様)
品番 | 最高一次側圧力 | 設定圧力 | ねじ |
RJ2004MZ | 750kPa | 80kPa | Rc3/4 |
安全弁は貯湯タンクを守る安全装置
安全弁は減圧弁に不具合が起きた場合や貯湯タンク内が熱膨張による圧力上昇が起きた時に、貯湯タンク外にお湯を排出し圧力を下げる安全装置です。安全弁からお湯が出続けている場合、単純に安全弁の不具合を疑うだけでなく減圧弁の不具合や設定圧力に間違いがないか確認することが重要です。
ダンレイ 安全弁 SD-ZZ
品番 | 吹き始め圧力 | ねじ |
SD2012ZZ95 | 95kPa | Rc3/4 |
SD2012ZZ120 | 120kPa | |
SD2012ZZ150 | 150kPa | |
SD2012ZZ200 | 200kPa |
ヨシタケ 安全弁 AL
品番 | 吹き始め圧力 | ねじ |
AL52-95 | 95kPa | Rc3/4 |
AL52H-120 | 120kPa | |
AL52H-140 | 140kPa | |
AL50H-300 | 300kPa |
ダンレイ 安全弁 SD-SZ
SD-SZシリーズは弁座面をステンレスにすることで、腐食やスケールによるリスクを低減できます。
品番 | 吹き始め圧力 | ねじ |
SD2012SZ95 | 95kPa | Rc3/4 |
SD2012SZ120 | 120kPa | |
SD2012SZ150 | 150kPa | |
SD2012SZ200 | 200kPa |
選定の煩わしさを省く減圧弁・安全弁セット
もっとも多く使用される減圧弁80kPa、安全弁95kPaのセットも発売されています。
減圧弁・安全弁セット
品番 | 減圧弁 | 安全弁 | 仕様 |
RJ2002AZ-SET | RJ2002AZ80 1個 | SD2012ZZ95 2個 | 寒冷地・一般地兼用 |
RJ2004MZ-SET | RJ2004MZ 1個 | SD2012ZZ95 2個 | 寒冷地用 |
まとめ
減圧弁と安全弁は給湯器本体を守るための部品の必須部品です。故障してしまうとお湯が出なかったり、漏水したり、最悪は貯湯タンクが破損することもあります。度重なる施工の手間や、ユーザー様を不安な気持ちにさせないためにも、減圧弁と安全弁は一度に交換することをオススメします。
大宮彰大
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