トイレ修理の効率化!即納可能な汎用アフター部品ガイド
トイレのトラブル対応を早める汎用性の高いアフター部品
国内の洋風便器市場はタンクレス式が増えてきています。このモデルの便器は、製造メーカーがユーザー登録を促し、アフターサービスから買換え需要まで取り込むスキームを提供しています。一方、タンク式のアフターサービスは市場に委ねられており、最近では、メーカーやモデルを問わずに使用可能な汎用アフター部品が多数発売されています。これにより、トイレのトラブル対応が格段に容易になり、修理の効率化が進んでいます。
タンク式大便器は4種類
水栓便器のタンクは大きく分けて4つの種類があります。和式に多い「スミ付形」、一般家庭の洋式に多い「密結形」、古い住居に多い「ハイタンク」、タンクの下から給水する「下給水」です。その中でも、スミ付形と密結形のいわゆるロータンク式と呼ばれるタンクの普及率が高いので、これらのトラブル解決にフォーカスします。
タンクの仕組み
タンク式大便器のトラブル診断チャート
止水栓を閉めた際、便器内に流れる水が止まった場合はボールタップを疑う
止水栓を閉めた際に便器内に流れる水が止まった場合は、ボールタップのサビや損傷による動作不良、ボールタップ内のパッキン摩耗による止水不良、ポリ玉の破損によるフロート位置のズレ、サオの破損によるフロート位置のズレが考えられます。その際、以前は個々の部品を取り寄せ交換していましたが、樹脂化が進み部品単価が大幅に低下した今日では、ボールタップを丸ごと新しいものに交換する方が施工業者とユーザーの双方にとってメリットがあります。特に、衛生陶器メーカー問わずほとんどのロータンクに取り付けられる「万能マルチボールタップ(品番:V56-5X-13)」はオススメです。
「万能マルチボールタップ(品番:V56-5X-13)」
品番 | 使用圧力 |
V56-5X-13 | 0.05MPa(流動圧)〜0.75MPa(静水圧) |
ゴムフロート付きの便利な「トイレロータンク修繕セット(品番:V56S)」
品番 | 使用圧力 |
V56S | 0.05MPa(流動圧)〜0.75MPa(静水圧) |
止水栓を閉めても便器に水が流れ続ける場合はゴムフロートとサイフォン管(オーバーフロー管)を疑う
止水栓を閉めても水が止まらない場合、ゴムフロートの摩耗や破損による止水不良、またはサイフォン管(オーバーフロー管)の損傷による漏水が考えられます。
ゴムフロートは3品番あれば事足りる
TOTOだったらこれ1つ!「PH84-92X」
「ロータンクゴムフロート(品番:PH84-92X)」は、TOTOをはじめとしたほとんどのメーカーのロータンクに適合し、タンク排水口サイズ(32/38/51)を気にすることなく兼用できます。
品番 | 排水口径 |
PH84-92X | 32/38/51㎜ |
LIXIL(旧INAX)だったら「PH84-91X」と「PH84-93X」の2つ!
LIXIL(旧INAX)だけは、球体ゴムフロートの外周で止水する独自設計なので前述のフタ形状の「ロータンクゴムフロート(品番:PH84-92X)」が使えません。別途、32と38を兼用する「ロータンクゴムフロート(品番:PH84-91X)」と51サイズ用の「ロータンクゴムフロート(品番:PH84-93X)」の2種類から選択してください。
品番 | 適合 |
PH84-91X | LIXIL(INAX)製密結ロータンクフロート直径55㎜用 |
PH84-93X | LIXIL(INAX)製スミ付ロータンクフロート直径65㎜用 |
サイフォン管(オーバーフロー管)はメーカーを問わない
サイフォン管(オーバーフロー管)は、密結形用38㎜と51㎜の2種類、スミ付形用32㎜と38㎜の2種類の合計4種類でカバーできます。タンク排水口のサイズに合わせて選定してください。
品番 | 高さ | 幅 | 洗浄管サイズ | 適合 |
PH840-38 | 300㎜ | 60㎜ | 38㎜ | 密結ロータンク用 |
PH840-51 | 67㎜ | 51㎜ | ||
PH84-32 | 60㎜ | 32㎜ | スミ付ロータンク用 | |
PH84-38 | 38㎜ |
レバーが作動しない場合は迷わず交換
レバーが動かなくなってしまった場合は、レバーのサビや破損が考えられますので迷わず交換してください。レバーには、密結用の軸が長い「ロータンクレバー(品番:PH84-12XL)」とスミ付用の軸が短い「ロータンクレバー(品番:PH84-12X)」の2種類からお選びください。止水の微調整はゴムフロートのクサリで行います。
品番 | 長さ(レバー本体除く) |
PH84-12X | 76㎜ |
PH84-12XL | 185㎜ |
まとめ
メーカー問わず共通化されたアフター部品が増えています。汎用性が高いためコストメリットが得られやすく、作業自体も以前と比べて容易になりました。「トイレの水が止まらない」「どうしても流れない」といったトラブルの相談を受けた場合、ユーザーの困りごとをすぐ解決するために共通化されたアフター部品を在庫してみてはいかがでしょうか。
※この記事は2020年6月12日に公開されましたが、校正し直し2023年3月28日、2024年4月5日に再度公開しました。
佐々木 克仁
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