エアコンの室内機で発生する結露水は、勾配をつけたドレン配管を通じて屋外に自然排水するのが一般的です。しかし、地下室や奥まった和室、そしてマンションなどの外壁に面していない部屋の場合、ドレン配管の勾配を確保できず設置を断念してしまうケースがあるようです。本稿では、エアコンとドレン配管の間に設置するだけで、結露水を送り出すことができる「壁掛けエアコン用ドレンポンプ」をご紹介いたします。

※この記事は2022年9月22日に公開しましたが、再編集し2023年6月7日に再公開しました。

ドレンポンプで結露水排出問題を解決する

外壁に面していない部屋にエアコンを設置する場合、冷媒配管、配線、そしてドレン配管を天井裏まで回す必要があります。しかし、冷媒と電源は勾配に関係なく流れますが、結露水だけは勾配に逆らうことができないので逆流して室内機からあふれてしまいます。このような現場でオススメしているのが結露水をポンプの力で天井裏まで送り出す「壁掛けエアコン用ドレンポンプ」です。

HA［JEM-A］端子を備えたＪＭシリーズ

JMシリーズは現行の家庭用壁掛エアコンに特化したドレンポンプです。

品番	電圧	基準価格
JM121S	100V	￥50,000
JM122S	200V	￥50,000

HA［JEM-A］端子でエアコンとカンタン接続

現行の家庭用壁掛エアコンに搭載されることが増えているHA［JEM-A］端子に簡単にドレンポンプの制御線を接続できるようにあらかじめHA［JEM-A］端子カプラーを用意。現場での複雑な結線作業は不要です。

100Vコンセント付きで電気工事は原則不要

あらかじめコンセントはHAアダプターを介して結線されているので、現場ではコンセントに差し込むだけで通電します。ブレーカや結線作業は原則不要のカンタン施工です。

HA［JEM-A］端子がないエアコンにはSシリーズ

SシリーズはHA［JEM-A］端子がない家庭用エアコンや天井埋込型エアコンにも接続できる汎用性の高いシリーズです。

品番	電圧
S121J	100V
S122J	200V

汎用性の高い現地結線

S121JとS122Jは電源、エアコンとの信号線ともに現地での結線が必要です。手間に感じてしまうかもしれませんが、HA［JEM-A］端子に対応していない家庭用エアコンや天井埋込エアコンなど100V電線とコンセントを介さずに接続したい場合などにも対応する汎用性の高さが売りです。

シンプルな装備で低コスト

前項でも触れた通り、電源、エアコンとの信号線ともに現地での結線するため、HA端子、コンセント、HAアダプターなどが付属しないため製品単価がJMシリーズと比べ安価に設定されています。結線作業に慣れている施工業者様にはオススメです。

「壁掛けエアコン用ドレンポンプ」の施工ポイント

本体は室内機ドレン配管口より低く水平に設置する

エアコン室内機から①ドレン入水口までは、結露水を自然勾配で流さなければなりません。内蔵のポンプは排出の為だけにあり、ドレン水を吸引する能力はありませんのでご注意ください。また、本体に傾きがあるとフロートが正しく動作せず、ドレン水があふれ出る恐れがありますので、必ず付属の設置用台紙で水平を取ってください。

専用ドレンホースの末端位置はポンプより上にする

「ドレンポンプ」の動作音は最大32㏈で最長5秒と驚くほど短く、それ自体を誰も気にするものではありません。しかし、ポンプより下へ専用ドレンホース末端を持ってくるとサイフォン現象によりタンク内の水が全て引っぱりだされ、ドレンにつきもののゴポゴポ音などの異音が発生する恐れがあります。ですから、専用ドレンホースの末端位置は、ポンプより高い位置で太い立配管に放流するように配管しなければなりません。

ドレン出口管には別売品「断熱ホースセット」

品番	内径	外径	全長
D9	9mm	15mm	20m
D9-10			10m

図3の②ドレン出口管には付属品のビニルホースで接続しますが、結露が発生する環境では別売品の断熱ドレンホースセットをご使用ください。ただし、温度と相対湿度による空気の露点温度は設置環境により異なり、発生するすべての結露防止を保証するものではありません。また、メンテナンスも考慮し、接着剤は使用せず、付属のホースバンドで接続してください。

まとめ

「壁掛けエアコン用ドレンポンプ」を使用すれば、これまで設置することのできなかった部屋にエアコン設置を提案することができます。エアコン側にHA［JEM-A］端子が付いている場合は、施工が簡単な「JMシリーズ」、HA［JEM-A］端子がないエアコンや天井埋込型エアコンには安価な「Sシリーズ」を選定してください。また、設置する際は、ドレンポンプはあくまで結露水を排出する力しかありませんので、室内機からドレンポンプまで自然勾配で結露水が流れるよう、室内機のドレン配管口よりも低い場所に水平に設置することがポイントです。