効果的なフレキシブルダクト締付バンドの正しい使い方:パフォーマンスを最大限に引き出す方法
※本稿は、2022年11月18日に公開しましたが、校正し直し2023年7月10日に再公開しました。
ダクトを傷つけにくい締付バンドで性能を損なわない
断熱ダクトには、浸湿機能にPETフィルム、消音機能にポリエステル不織布やPETフェルト、断熱保温機能にはグラスウールやPETフェルト、ジャケットには耐薬品性や耐熱性を狙った金属系(ガラス繊維入りアルミニウム蒸着やアルミニウムなど)と耐薬品性や耐久性を狙った樹脂系(PETやポリエチレンのフィルムやPVCなど)など、繊細な機能素材が使われています。締付バンドの端部が角ばっていると、ジャケットを傷つけて断熱性能を損なう恐れがあります。また、非断熱フレキシブルダクトであっても、バンドが補強芯の上に重なると隙間ができて気密性が低下するという問題があります。
断熱ダクトを優しく締め付ける「ファインクランプ」
ファインクランプという面で優しく締め付ける締付具は、グラスウールやPETフェルトを内包している断熱保温用のダクトに使用されます。例えば、「断熱ダクト(消音機能付き)(品番:KM-○○DS)」、「高断熱ダクト(消音機能付き)(品番:KM-○○KD2)」、「断熱ダクト(品番:GDF-○○)」、「消音グラスフレキダクト(品番:HH24-○○)や(品番:NFF-○○)」など、断熱機能を備えたダクトにご使用ください。
ファインクランプ
品番 | 締付範囲(mm) |
D-75 | 58~75 |
D-138 | 104~138 |
D-165 | 130~165 |
D-180 | 150~180 |
D-231 | 200~231 |
バンド部は外側にのみネジ溝を備えており、内側はフラットな形状です。これにより、均一な圧力で締め付けることができ、グラスウールを傷つけることなく固定できます。また、バンドの端部はR形状になっているため、断熱ダクトのジャケットを損傷することもありません。
らせん方向に沿って軟質部だけを締め付ける「SWクランプ」
「SWクランプ(品番:SW○○)」は、ダクトの補強芯の間にある軟質部分を締め付けるためのものです。50〜60kgf・cmのトルクで絞めることで、ホースを傷つけることなく確実に施工することができます。ただし、締めすぎるとダクトを破損する可能性があるため、注意が必要です。このクランプは非断熱ダクト「コンパクトール(品番:KM-○○K)」に使用してください。
品番 | 締付範囲(mm) | 適合巻き方向 |
SW050 | 51~61 | 右巻き |
SW075 | 75~86 | |
SW117 | 101~121 | |
SW150 | 146~180 | |
SW200 | 197~217 | |
SW050L | 51~61 | 左巻き |
SW075L | 75~86 | |
SW117L | 101~121 | |
SW150L | 146~180 | |
SW200L | 197~217 |
ダクトの可動性と伸縮性を担う補強芯の上にバンドが重なると、隙間が生じて気密性が低下します。この問題に対処するために開発されたのが非断熱ダクト専用バンドです。このバンドは、らせん状に配置されている補強芯を避けて、軟質部分のみを斜めに絞め締めすることができます。右回り用と左回り用の二種類がラインナップされていますので、ホースの巻き方向をご確認の上、ご注文ください。
まとめ
フレキシブルダクトと継手の接続には、締付バンドが基本です。断熱ダクトには、グラスウールやPETフェルトを優しく締め付けるための「ファインクランプ」をご使用ください。非断熱ダクトには、「SWクランプ」を使用することで、補強芯の間にある軟質部分を斜めに締め付けることができます。隠蔽部に使用されるフレキシブルダクトは、点検や補修が容易ではないため、適切なバンドを選び、長期間安心して使用するための施工を行いましょう。
室橋尚哉
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