「玄関ドアが開かない⁈」を解消する。差圧式給気口で超快適!
※本稿は2019年9月11日に公開し2020年12月7日に修正加筆した記事を、校正し直し2021年3月18日に再公開しました。
給気量不足をリニアに解消する
ステイホームが定着し、自宅でお仕事をされているユーザーが増えています。まずはネットワークの改善から始まる在宅ワークのための環境整備ですが、次に気になるのが家族の生活音やWEB会議の音声の遮断。その一方で、高気密住宅ではドアや窓が重くなったり鍵がかけられなくなるといったトラブルが少なくありません。
その多くは、給気量不足を解消すれば解決できる可能性が高いです。しかし、単に給気量を増やしては気密は保たれません。本稿では、要求される給気量にリニアに反応する「差圧式給気口」をご提案いたします。
自宅のドアや窓が重い要因は室内と外の気圧の差
住宅の進化によって改善したことの一つは、間違いなく高気密化です。建築基準法の改正により、これまでの各部屋単独の換気でなく家全体を計画的に24時間換気するようになり、窓を開けなくても室内の空気をきれいに保つことができるようになりました。
ただし、これは計算上の話。実際ハウスメーカーやマンションデベロッパーは、以下をユーザーに促しています。
- 日ごろから給気口を開ける
- 給気口を掃除する
- 換気扇やレンジフードを弱で回す
- 換気扇やレンジフードを使う時は窓を少し開ける
レンジフードの運転は致命的
キッチンのレンジフードは通常の常時換気システムの排気量と比較し10倍~20倍と、まさに桁違い。特に高気密住宅では、レンジフードを運転した途端に急増する排気量に対して給気口から取り入れる空気量が不足して、室内が負圧状態に陥り「ドアや窓が重くて開かない」「排水口から悪臭を吸い上げてしまう」という現象が発生します。勿論、レンジフードを運転する時に窓を開ければ負圧は解消しますが、光熱費の無駄、アレルギー物質の侵入、WEB会議の音声漏れが気になりますし、何しろ毎回毎回窓の開け閉めをするのは面倒です。
また「同時給排気レンジフードを設置したが、給気口と排気口を近づけすぎたため、ショートサーキットを起こし負圧が解消できない」といった事例も耳にします。
宅内環境を快適にする差圧式給気口を使った対策
変化する排気量に合わせて給気量をリニア可変することができる「差圧式給気口」をご存じでしょうか?平時とレンジフード運転時で排気量にギャップがあれば、そこがボトルネックです。
「差圧式給気口」の仕組み
レンジフードを作動すると室内の圧力が下がり負圧になります。
下図をご覧ください。「差圧式給気口」は、負圧を感じるとダンパーが開き空気(外気)が入ってくる構造を有していることがご確認いただけます。
強風時、必要以上に外気が給気され室内空気環境のバランスに影響を及ぼします。「差圧式給気口」は、必要以上に外気が給気されると自動的に「コントロール羽根」が作動し、開口スペースを調整する事であらかじめ設定された給気量を維持しながら室内空気環境のバランスを整えます。
壁面に取り付ける差圧式給気口
マンションに採用されることが多い「差圧式給気口(壁取付用)(品番:PDF150BWF)」は、主にベランダ側壁面に取り付けられています。
品番 | A | B | D | 基準価格 |
PDF150BWF | 192 | 157 | 147 | ¥5,500 |
壁でも天井でも取り付けられる差圧式給気口
壁面はもとより天井でも取り付けることができる「差圧式給気口(天井取付用)(品番:PDK150BWF)」は、目立たないようにキッチンの天井に取り付ける事例が多く見られます。
「差圧式給気口 (品番:PDK150BWF)」は主に天井に取り付けて使用されます。
品番 | A | B | D | 基準価格 |
PDK150BWF | 192 | 157 | 147 | ¥5,920 |
フィルターのお掃除は必要
給気量の調整はリニアですが、フィルターの洗浄は必要です。説明すればユーザー自身が洗って繰り返し使えるものですが、施工時にはユーザーでもカバーの脱着等の作業がしやすいスペースを確保されるようお願いいたします。
品番 | フィルター | 基準価格 |
PDF-F | メッシュフィルター | ¥1,470 |
品番 | フィルター | 基準価格 |
PDK-F | メッシュフィルター | ¥570 |
まとめ
高気密住宅では、ドアが重くて開かないことがあります。原因は室内と室外の気圧の差ですから、何かしら室内に空気を取り込むよう工夫が必要です。ユーザーに窓の開閉を要求しても解消しますが、設備のプロとしては「差圧式給気口」を設置することでユーザーに特別な仕事をさせず、負圧を解消したいものです。新築時はもちろん、ビルトインコンロやIHクッキングヒーターに入替えた際に「同時給排気レンジフード」を採用した現場にも是非ご採用下さい。
室橋尚哉
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