ヒートポンプ式の温水暖房に使いたい。軽くて多機能な「671樹脂ヘッダーセット」
※この記事は2019年7月30日に公開した記事ですが、2020年11月12日、2022年2月24日に加筆修正し再度公開しました。
温水暖房用ヘッダーを軽量化して施工性の悪さを解消
最新の住宅であれば温水暖房回路に高温を必要とすることはなく、通湯温度は40℃~60℃で循環させることが多いため、パイプや継手はもちろん、ヘッダーであっても金属製である必要が薄れました。そこで人気の「ヘッダーセット668」の機能はそのままに、材料を黄銅からPA66(66ナイロン)で設計し直したのが「671樹脂ヘッダーセット」です。
この商品は、最新機能がぎっしり詰まっているのに驚くほど軽量です。一方で、ねじ部には金属を用いる慎重さが世界で支持されています。
温水暖房に必要な部材を丸ごとセット
「欧州で668ヘッダーセットが定番であり続ける理由」でも取り上げた「ヘッダーセット668」と同様、往き戻りのヘッダーと主管バルブ、流量計、分岐管用バルブ、エアベント、ドレンコックが組立てられ通水テストも実施済みの状態で出荷されますから、施工時間と漏水リスクを大幅に削減できます。更にはサーモテープ式のデジタル温度計も内蔵されていますので温度計をつける必要はありません。現場で行う作業は主管バルブの向き調整だけといっても過言ではない商品です。
品番 | 回路数 | 主管 | 枝管 | L寸 |
6716C1 | 3 | G1” | G3/4 | 300 |
6716D1 | 4 | 350 | ||
6716E1 | 5 | 400 | ||
6716F1 | 6 | 450 | ||
6716G1 | 7 | 500 | ||
6716H1 | 8 | 550 | ||
6716I1 | 9 | 600 | ||
6716L1 | 10 | 650 | ||
6716M1 | 11 | 700 | ||
6716N1 | 12 | 750 |
回路別に1~4L/minの範囲で流量の調整ができる
往き側ヘッダーには熱動弁がつけられるストップバルブ、戻り側ヘッダーには流量計付き流量調整バルブが内臓されています。放熱端末が多いシステムでは、本来、回路ごとの流量調整が必要ですから重要な機能です。流量調整の仕方は簡単で、往き側ヘッダーに内臓されている流量計を見ながら、フローメーター部をクルクル回しながら1~4L/minの範囲で調整してください。
アクチュエーターをヘッダー上部に直接取付けることができる
戻り側ヘッダーに内臓されているストップバルブは手動で開閉できますが、なんと手動ハンドルを外してアクチュエーターに取替えれば、暖房用コントローラと連動させて自動制御ができます。床暖房では必須アイテムですが、今どきの欧州ではパネルラジエータの場合でもサーモバルブで調整するよりユーザーの使い勝手が良いという理由でコントローラを組み合わせるのが一般的です。
アクチュエーターは電圧にあわせて選定
アクチュエーターとストップバルブのストローク長と合わせなければ完全止水ができません。よって、CALEFFIのヘッダーにはCALEFFIのアクチュエーターを使います。この3タイプのアクチュエーターの施工が国産とは大違い。写真の下にあるリングをヘッダーに手締めでねじ込んだら、本体を上からパチンと音がするまで押し込むだけです。
品番 | 消費電力 | コード長 | 電圧 |
116001 | 1.8W | 100cm | AC100V |
3060002 | 2.5W | 80cm | AC230V |
デジタル温度計で流体の温度が一目瞭然
往き戻りのヘッダー本体にはデジタル温度計(24℃~48℃)が組込まれています。変色することで現在温度を表示するサーモテープ式温度計のため、温度の読み取りが容易で設置作業時の衝撃で破損する心配もほとんどありません。流量計と併せてシステムの運転状況の確認や評価に便利です。
ヘッダーエンドに備えられたエアベントで効率的に脱気
ヘッダーの一番後ろにはエアベントが付属しており、各回路からあつまったエアを効率的に脱気します。エアベントには上部と側面に2つの排気口とキャップが備えられています。上部の排気口の内部にはフロートが備えられており、システム内のエアのみを排出する役割を担っています。対して側面の排気口はシステム内と直接つながっており、キャップを緩めればエアと一緒に循環水も排出されます。なのでシステム内に循環水を張る際の大雑把なエア抜きに使用します。
バイパスキットで往き戻りの差圧を解消
熱動弁やサーモバルブの働きにより、設定温度以上になると各バルブが閉まります。正しい動きではありますが熱源機本体が停止するまではポンプは回り続け各所に圧力を掛け続けます。これにより往き側と戻り側の圧力の差(差圧)が大きくなり、本来閉止するべきバルブなどから微小漏れを起こすことがあります。この差圧を解消するには往き側の高い圧力を戻り側に逃がす必要があります。ヘッダーエンドに備えられたドレンコックにバイパスキット(品番:182000)を取り付けることで、往き戻りの差圧を簡単に解消することができます。バイパス管内部には差圧25KPa以上になると流路が開く、バルブが備えられており、必要な時にだけバイパスします。
バイパスキット
品番 | ねじ | 動作差圧 |
182000 | G3/4 | 25KPa |
分岐管の接続がカンタンなカップリング式の標準アダプタ
ヘッダー本体と分岐管の接続は、同梱されているダブルOリング仕様の「671標準アダプタ(品番:675850)」を差し込んでクリップで抜け防止処置をするだけで完了します。
パイプは、架橋ポリエチレン管、O2ストップパイプ、そして三層管の10A・13Aをお使いいただけます。アダプタとパイプの接続は、使用するパイプの内外径に適合する「ヘッダー継手」で絞めこんで固定してください。ヘッダー継手内部の樹脂製圧着リングは、パイプに合わせて収縮するオートアジャスト機構を備えた国内ではお目にかかれない優れた止水機構です。もちろん不凍液にも対応しています。
「671標準アダプタ(品番:675850)」
品番 | 規格 |
675850 | G3/4 |
ヘッダー継手(樹脂管用)
品番 | 適合配管径 |
680501 | 内径9.5~10 外径12~14 |
680535 | 内径12.5~13 外径16~18 |
ヘッダー継手(三層管用)
品番 | 適合配管径 |
679514 | 内径10.1 外径14.1 |
679524 | 内径12.1 外径16.1 |
16Aや銅管を使用する現場では671変換アダプタでR1/2に変換する
「671樹脂ヘッダーセット」に付属している、「671標準アダプタ(品番:675850)」を「671変換アダプタ(品番:675852)」に付け替えればRc1/2ねじに変換できるので、いつもお使いの「架橋ポリパイプ用オスアダプタ」などと組み合わせることもできます。
671変換アダプタ(品番:675852)
品番 | 規格 |
675852 | Rc1/2 |
架橋ポリパイプ用オスアダプタ KSJ1型
品番 | 樹脂管サイズ | ねじ |
KSJ1-1307 | 7A | R1/2 |
KSJ1-1310 | 10A | |
KSJ1-1313 | 13A | |
KSJ1B-1316 | 16A |
まとめ
最新の住宅であれば温水暖房回路に高温を必要とすることは少なく、通湯温度40℃~60℃の低温で循環させる、ヒートポンプ式の温水暖房を採用する機会が増えています。高温にも強い金属製ヘッダーだけでなく、充実した機能と周辺部材を備え、材質を黄銅からPA66(66ナイロン)で設計し直した「671樹脂ヘッダーセット」はバランスの良いベストなパーツではないでしょうか?
大宮彰大
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