ガス業者の皆様にとって、調整器やその他の供給機器を壁に取り付ける際、L字の固定金具に用いられるUボルトの蝶ネジを回すのは難しく、また取り外すのにも手間がかかることがあるのではないでしょうか。そんな時に役立つのが「電動ドリル用蝶ネジソケット」です。このツールを使用することで、狭いガス配管の間を縫って手で回していた蝶ネジも電動工具を利用して簡単に取り外すことができます。ソケットでは手が届かない奥深い場所でも、「電動ドリル用マルチビットアダプター」があれば作業がスムーズに進みます。この2つの便利なアイテムを今回は併せてご紹介させていただきます。

蝶ネジをまるでボルトのように電動ドリルで締め緩め

「電動ドリル用蝶ネジソケット」とは、通常の電動ドリル用ソケットと異なり、蝶ネジの特有の形状に合わせてデザインされています。電動ドリルを使用することで、手動での締め付けや取り外しよりもはるかに迅速かつ効率的に作業ができます。

蝶ねじの主な使用シーンと施工上の問題点

家具、バッテリー周辺、ステージ機材など、電動工具を所有していないユーザーが頻繁に取り付けや調整を行う必要がある機材に採用されることが多い蝶ねじですが、意外と設備機器にも採用されています。しかも、板ラチェットやレンチが回せない狭い箇所に用いられるため、手廻しでの作業は容易ではなく非効率でした。例えば、メーターなどの重量の軽い機器のブラケットや固定金具に採用されている場合、配管の間から指先でしか操作できず、必要な締付トルクを確実に得るのが難しく、時間がかかり、手が疲れやすいという問題がありました。

電動ドリル活用：作業効率の向上と疲労軽減の秘訣

電動ドリルの使用は、締め付けや取り外しの作業時間を大幅に短縮するだけでなく、疲労の軽減にも繋がります。特に、適切なソケットを選べば、狭い場所や難しい角度でも一定のトルクで確実に作業を進めることができます。狭い場所の施工で苦慮されてらっしゃる施工業者様が使用することが多いためか、「電動ドリルドライバー」もそうですが、「電ドラボールプラス」のようないわゆる電動ドライバーと組合わせた方が一層使いやすさを実感していただけます。

「電動ドリル用蝶ネジソケット」の使用方法とラインナップ

「電動ドリル用蝶ネジソケット」は、トップ工業が提供する電ドル用マルチソケットシリーズの一員です。この「マルチ」という名称の背後には、そのソケットが電動と手動、双方の作業モードに対応しているという特長があります。

具体的には、電動工具の装着時には六角軸1/4（6.35mm）部を使用します。一方、増し締めやトルクの調整時には、ソケットの根元にある対辺13mmのナット部分にレンチや板ラチェットを取り付けることができます。さらに、この13mmの六角部には脱落を防ぐためのボールが付いているため、作業中の安全性も向上しています。

「電動ドリル用蝶ネジソケット」ラインナップ

手締めを前提として採用されている蝶ネジや蝶ボルトを電動ドリルを用いて効率よく締め緩めするためのソケットです。なお、保証トルク値は47N・m以内でご使用ください。

品　番	適　応	トルク（Ｎ・ｍ）
ECS-M45	M4・Ｍ5共通	47
ECS-M6	M6
ECS-M810	M8・Ｍ10

「電動ドリル用蝶ネジソケット」を約４０mm延長できる「電動ドリル用マルチビットアダプター」

「電動ドリル用マルチビットアダプター」は、一端にソケットレンチやドリルビットを取付け、もう一端を電動ドリルなどの工具に取付けリーチを延長して、手が届きにくい場所や狭い空間での作業を容易にするツールです。ここでの提案は、一端に「電動ドリル用蝶ネジソケット」を取付け、もう一端に「電ドラボールプラス」ということになります。なお、本品もトップ工業の電ドル用マルチソケットシリーズの一員なので、13mm六角部をラチェットレンチ等に装着して手動用として兼用できます。

品　番	6角対辺(mm)	トルク（Ｎ・ｍ）
EMA-635-13	13	47
EMA-635-17	17

まとめ

「電動ドリル用蝶ネジソケット」は、蝶ネジ特有の形状に特化した電動ドリル用のソケットです。工具のないユーザーにとって便利な蝶ネジは、施工業者様にとっては狭い箇所での効率の悪さや手の疲労が問題点として挙げられました。このソケットを電動ドライバー「電ドラボールプラス」と組み合わせることで、作業時間を大幅に短縮し、疲労を軽減することができます。特に、奥深くにある蝶ねじにアクセスする場合には「電動ドリル用マルチビットアダプター」を組合わせれば、約40mmの延長が可能となります。トップ工業の提供するこのマルチソケットシリーズは、電動と手動の二刀流に対応しています。そのユニークな特長として、脱落を防ぐためのボールが13mmの六角部に付いている点も注目されています。