【防火ダンパー】で防火区画でも衣類乾燥機の排湿筒を貫通させる
防火・準防火地域に設置するなら防火ダンパーを
ガス衣類乾燥機の排湿筒には、排湿ホースとアルミフレキ、そしてステンレス製の排湿筒が指定されています。排湿ホースとアルミフレキも施工しやすく便利ですが、防火・準防火地域において排湿筒を防火区画貫通しなければならない現場では、ステンレス製の排湿筒に防火ダンパーを取り付けるようハウスメーカーやデベロッパーから指導される事例が増えています。
防火ダンパーの役割
昔は、防火ダンパーといえば「空調ダクト」に設置するのが一般的でした。もちろん、今でもそうですが、「ガス衣類乾燥機の排湿筒」から火煙が区画外に出てしまうのを防ぐ役目も果たすようになってきました。もし、防火ダンパーの設置が無い場合は、防火区画として成立しない点に注意が必要です。
防火ダンパーの種類
防火ダンパーには「ダクト挿入用」と「ダクト接続用」の2種類があります。両者とも防火性能は同じですが、メンテナンス性が異なります。「ダクト接続用」は天井などに点検口を設置して継手を丸ごと取り外しメンテナンスを実施するのに対して、「ダクト挿入用」は屋外からパイプフードを取り外してメンテナンスします。
衣類乾燥機の排湿筒に防火ダンパーを設置する場合の課題
事前に消防への相談が必要
現地所轄の消防がステンレス製の排湿筒を排気筒とみなした場合、昭和45年建設省告示第1826号(換気設備の構造方法を定める件)第4第二号「煙突には、防火ダンバーその他の温度の上昇により排気を妨げる恐れのあるものを設けないこと」を理由に指導が入ることも考えられます。ステンレス製の排湿筒に防火ダンパーを設置する場合には、所轄の消防へ事前に相談してください。
「ダクト挿入用」の防火ダンパーしか使えない
ガス衣類乾燥機であっても、隠ぺい部における排湿筒の接続は、容易に外れず、かつ、燃焼排ガス漏れを防ぐ措置を講じなければならないため、「ロック機構付き抜け防止機能を有する排気筒」いわゆるSKPパイプやKPパイプを使用しなければなりません。それらの風の出口側はオスになっているので、そもそも「ダクト接続用」防火ダンパーのオスとかん合しません。衣類乾燥機の排湿筒に設置できる防火ダンパーの種類は「ダクト挿入用」だけなのです。
ステンレス製の排湿筒に「ダクト挿入用」の防火ダンパーを取付けるコツ
「ダクト挿入用」の防火ダンパーが設置できるとはいえ、取り付けるにはちょっとしたコツがあります。
<ダクト挿入用の防火ダンパーを取り付ける手順>
- 防火ダンパーをヒューズを手前側にして押し込む
- 隙間を耐熱用シリコーンで充填する
特にφ80排湿筒に「ダクト挿入型」の防火ダンパーφ75を挿入すると隙間が大きく空いてしまいますが、手順2で耐熱用シリコーンを多めに充填すれば問題はありません。また、ベストパーツではガタツキを抑えるために別注で防火ダンパーのバネを高バネ仕様にしています。
ヒューズの向きに注意が必要
「ダクト挿入用」の防火ダンパーは、温度ヒューズの熔解に伴いダンパーが自動的に閉鎖する仕組みです。しかし、稀に風圧や温度ヒューズの誤作動で外れたヒューズを元通りに羽根にハメ直す修復作業が必要になります。そのため、必ずメンテナンス側にヒューズが来なければなりません。
排湿筒にオススメの防火ダンパーのラインナップ
ガス衣類乾燥機の排湿筒としてφ80またはφ100の排気筒を用いる場合に活用できる防火ダンパーは以下の通りです。
φ80用防火ダンパー
防火ダンパーは高バネ式の取り付け仕様となっております。よって、φ80排気筒内径約80mm、防火ダンパー外径が72mmですので、本体と防火ダンパーに隙間が生じてしまいます。その隙間は耐熱用シリコーン(品番:KE3418)で塞いでください。
品 番 | D | H | Ⅼ |
FD75SCDSQ | 72mm | 35mm | 39mm |
φ100用防火ダンパー
防火ダンパーは高バネ式の取り付け仕様となっております。よって、φ100排気筒内径約100.8mm、防火ダンパー外径が97mmですので、本体と防火ダンパーに隙間が生じてしまいます。その隙間は耐熱用シリコーン(品番:KE3418)で塞いでください。
品 番 | D | H | Ⅼ |
FD100SCDSQ | 97mm | 50mm | 52mm |
まとめ
防火・準防火地域でガス衣類乾燥機を設置する現場では、衣類乾燥機であってもガス器具なので、隠ぺい部における排湿筒の接続は「ロック機構付き抜け防止機能を有する排気筒」を使用しなければなりません。その際、現地所轄の消防と、衣類乾燥機の排湿筒は昭和45年建設省告示第1826号(換気設備の構造方法を定める件)第4第二号「煙突には、防火ダンバーその他の温度の上昇により排気を妨げる恐れのあるものを設けないこと」に抵触するかを事前協議してください。許可が得られた現場では、排湿筒にSKPまたはKPの排気筒に「ダクト挿入用」の「防火ダンパー」を取付けてください。その際、誤作動に対応するために温度ヒューズをパイプフード側に向けなければならない点に注意が必要です。
佐々木瞭
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