ブラインチェッカーで早い、カンタン、正確に循環液の劣化状態を検知しよう
防錆添加剤は日々失われていく
近年、架橋ポリエチレン管を始め多くの部材が樹脂化されています。しかし、継手のねじ部と熱源機や放熱端末の熱交換部には金属でなければならない部品も数多くあるため、腐食対策が必要不可欠であることに変わりはありません。循環液は、温水暖房回路の凍結や腐食による事故を回避する最も有効な手段です。
防錆添加剤を消費すると金属イオン濃度が上昇する
温水暖房回路内の金属部品は、酸化する過程で金属イオンを放出します。けれども、循環液を使用してれば添加されている防錆成分が金属の酸化を遅らせるため金属イオンの放出量は限定されます。逆を言えば、防錆成分を消費すると金属の酸化を抑える働きが失われるため金属イオン濃度は上昇に転じます。
金属イオン濃度が上昇に転じたら循環液を交換
金属イオン濃度の上昇は、防錆添加剤の減少を表すだけでなく、本来、弱アルカリ性である循環液を酸性にしていきます。酸性に傾向した循環液は、腐食のみならず腐敗やスケールの抑制にも支障をきたし暖房システム全体の不具合につながります。よって、循環液は金属イオン濃度が上昇し始めたらすぐに交換するのがベストです。
金属イオン濃度はブラインチェッカーで検知する
「ブラインチェッカー(品番:SK-CK100)」は金属イオンと銅イオンに反応して変色します。一般的に変色度合いが10ppm程度より濃い場合は循環液の交換をおすすめします。それより変色が薄い場合は、「ブラインテスター(品番:BR-T3)」や「pH試験紙(品番:SK-PHS)」を用いて凍結温度やpHを測定し、交換や補充を検討します。
ブラインチェッカー
品番 | 容量 | 基準価格 |
SK-CK100 | 100ml | ¥6,250 |
手順1:付属のビーカーに循環液を入れる
付属の2つのビーカーに現在使用している循環液を20ml~30ml入れます。この時点で沈殿物や錆などがみられた場合は循環液の入替をおすすめします。
手順2:ブラインチェッカーを1ml垂らす
2つのビーカーのうち片方にだけ、ブラインチェッカーを1ml垂らします。付属のスポイトの一回の吸い込み量が約1mlとなっているのでカンタンです。
手順3:軽くビーカーを振り混ぜる
垂らしたブラインチェッカーがきちんと混ざるようにビーカーを振り、5~6秒程度放置します。
手順4:外観で変色度合いを比較する
2つ用意したビーカーを比較して外観に変化が見られない場合、その循環液は良好な状態です。金属イオン濃度が10ppmを超えている循環液は交換を推奨します。
金属イオン濃度が5ppm未満なら補充液で補う
ブラインチェッカ―を用いた試験の結果が5ppm未満であれば、防錆添加剤だけ補充できる「エスケーブライン専用補充液(品番:SKNW-S2)」を追加投入することをオススメしています。万が一、循環液そのものを追加投入してしまうとグリコール濃度が上昇して粘度が高くなりポンプなどの動力に負担をかける恐れがあるからです。
ノンウォーター専用循環液
品番 | 容量 | 概観 | 基準価格 |
SKNW-S2 | 2L | 無色 | ¥690 |
まとめ
循環液を使用する目的は、温水暖房システムを構成する配管、継手、そして熱源機や放熱端末を腐食から守ることです。そのため循環液には防錆防食剤が添加されていますが、その消費量は目視では分かりません。腐食の進行状況を早く、カンタン、そして正確に検知するために「ブラインチェッカー(品番:SK-CK100)」の利用をオススメします。循環液の金属イオン濃度が10ppmを超えていたら交換、10ppm~5ppmであれば「ブラインテスター(品番:BR-T3)」や「pH試験紙(品番:SK-PHS)」を用いて凍結温度やpHを測定し交換や補充を検討します。5ppm未満であれば防錆添加剤だけ補充できる「エスケーブライン専用補充液(品番:SKNW-S2)」を追加投入するというのが判断の目安です。
大宮彰大
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