狭所施工の課題を解決し、空調工事を劇的に短縮!冷媒銅管用ワンタッチ継手「エフ-1」

大型現場の改修工事、例えば病院や学校での空調工事。火を使わない継手の利用が増える中、狭い場所での施工は課題が多い。そこで注目されるのがエフ-1。この記事では、冷媒銅管専用のワンタッチ継手「エフ-1」の特長や施工方法を詳しく解説します。

連成計

空調分野の革命:火なし継手の新たな選択肢「エフ-1」

空調分野の火なし継手としては、東尾メック株式会社の「おっぞんくん」や、オーケー器材株式会社の「楽継」(2022年4月に「クイックパイパー」へと変更)が有名です。これらの継手は、ロウ付作業が不要なため、大型物件での需要が高まっています。しかし、締め込みにダブルスパナが必要という点で、狭所での施工に課題がありました。この背景から、冷媒銅管用ワンタッチ継手「エフ-1」が注目されています。この継手は、火なしの安全性を保持しつつ、ワンタッチ接続を可能にし、天井裏等の狭い場所でも容易に施工できるという特長が話題となっています。

効率と安全性の両立:「エフ-1」の特長

「エフ-1」の最大の特長は、効率的な施工です。付帯作業と継手接続の時間の短縮により、全体の作業時間を40%以上削減できます(図1参照)。さらに、図2に示す通り、従来のロウ付け接続と比較してもその効率の良さは明らかです。火を使わない工法のメリットは数多くあります。ロウ付技能が不要となるため、経験や技術力が不足している協力業者でも安心して任せられるという点が特筆されます。また、火災のリスクを回避し、壁や設備の焦げつきの危険を完全に排除する安全性も確保されています。

図1:メーカーの測定では、付帯作業と継手接続時間が減ることで作業時間を40%以上短縮できます。

図2:防火用具の搬入・準備・撤去、防炎シートによる養生作業・撤収、バーナーや窒素ガスボンベなどロウ付機材の搬入・準備・移動・撤去など多数の付帯作業が不要になります。

ワンタッチでも安心の理由は「継手の内部構造」にあり

図3:エフ-1の内部構造

図3を参照すると、「エフ-1」の内部構造が詳しく表示されています。特に、耐久性に優れたHNBR製Oリングが2枚配置されており、厳しい環境でも冷媒の漏れを長期にわたって確実に防ぎます。結露を考慮し、NBR製Oリングが採用されており、これにより湿度や温度変化でも結露のリスクが低減されています。

さらに、継手に管を挿入するだけのシンプルな操作で施工が行えるエフ-1は、SUS304製の2枚のロックリングを持つ構造を採用しています。この逆歯構造のロックリングが、管に力が掛かった際に管に食い込むことで、確実に抜けを防止します。重要な点として、一度管を差し込んでしまうと再度抜くことはできませんので、継手の再使用は不可能となります。

このような特徴を持つエフ-1によって、施工業者様は高品質な施工結果を期待でき、その結果に確かな自信を持っていただくことができるでしょう。

銅管内径とほぼ同じ低圧損の内部構造

図4:「エフ-1」のストッパー部は冷媒用銅管の内径と完全に面一に加工されているため、圧力損失を低減する設計となっています。

「エフ-1」は外径シール方式を採用しており、その内径は冷媒用銅管のそれとほとんど同じ寸法に加工されており、流路に凹凸のない設計となっています。このため、流体抵抗が少なく圧力損失も低く、結果として、管相当長の計算はほぼ不要となります。

「エフ-1」施工の正確さとメーカー保証を担保する認定制度

「エフ-1」は施工が非常にシンプルで、特別な技能を必要としません。しかし、施工にあたってはいくつかの重要なポイントを念頭に置くことが不可欠です。これらのポイントを適切に守らないと、施工不良や事故のリスクが増大し、結果的にクレームの原因となる可能性が考えられます。このようなトラブルを事前に防ぐと同時に、メーカーの保証を確実に受けるために「施工認定制度」が設けられています。

「エフ-1」施工前の重要な講習について

「エフ-1」を使用する前には、施工技術講習会の受講が必須となります。講習を希望する方は、お問い合わせフォームで「エフ-1の講習受講希望」とご入力の上、お知らせください。オンラインでの講習も提供しています。認定を受けた後でも、施工の際には「施工要領書」を必ず確認していただくようお願いいたします。

図5:冷媒銅管用ワンタッチ継手を使用するには施工技術講習会の受講が必須です。

「エフ-1」の国際基準とJCDA認証への適合性

「エフ-1」の試験評価は、国際規格ISO14903:2017および日本銅センター(JCDA)JCDA0012において、適合(認証品)となっております。

図6:一般財団法人日本銅センターの認証も取得済みで、公共物件などでも安心して使用できます

使用可能冷媒

「R32」「R410A」「R407C」の3種類の冷媒が使用可能です。R22などのその他の冷媒については、試験を行っていないため使用は推奨されておりません。

冷媒種類  R32 R410A R407C
冷媒温度 -40~130℃ -40~130℃ -40~130℃
最高使用圧力 4.3MPa 4.3MPa 4.3MPa
適合銅管 JIS B 8607 JIS B 8607/国土交通省仕様 国土交通省仕様

継手の品揃え: 当日出荷から結露対策まで完璧にサポート

「エフ-1」のラインナップはφ6.35からφ38.10まで拡充し、異径サイズを含めた全22品番をラインナップしております。さらに、ソケットには20mm厚、ユニオンには10mm厚の専用断熱材が付属されているため、別途保温材を用意する必要はありません。ただし、断熱材の背割れ部に関しては、結露を防ぐため断熱粘着テープなどの追加対策をオススメしております。

ソケットはφ38.10まで拡大

ソケット(20mm厚の断熱材付き)

冷媒銅管用ワンタッチ継手「エフ-1」 全サイズ1個から出荷可能です!

品番 適合銅管外径 L A1 A2
FOC-K635 6.35 58 20 20
FOC-K952 9.52 58 22 22
FOC-K127 12.7 58 25 25
FOC-K1588 15.88 58 28.5 28.5
FOC-K1905 19.05 60 33 33
FOC-K2222 22.22 60 37 37
FOC-K2540 25.40 66 44 44
FOC-K2858 28.58 69 46 46
FOC-K3175 31.75 80.5 52.5 52.5
FOC-K3810 38.10 80.5 60 60
FOC-K952635 9.52×6.35 58 22 20
FOC-K127952 12.7×9.52 58 25 22
FOC-K1588127 15.88×12.7 58 28.5 25
FOC-K1915 19.05×15.88 59 33 28.5
FOC-K2219 22.22×19.05 60 37 33
FOC-K2522 25.40×22.22 63 44 37
FOC-K2825 28.58×25.40 67.5 46 44
FOC-K3128 31.75×28.58 74.5 46 52.5
FOC-K3831 38.10×31.75 80.5 52.5 60

 

図7:ソケット

ソケット用保温カバーのみ

図8:継手は保温カバーに入った状態で梱包されています

品番 適合継手 厚さ
FOH20-23 FOC-K635/FOC-K952 20mm
FOH20-45 FOC-K127/FOC-K1588
FOH20-67 FOC-K1905/FOC-K2222
FOH20-1011 FOC-K2540/FOC-K2858
FOH20-1214 FOC-K3175/FOC-K3810
FOH10-YF234 FOC-YF635/FOC-YF952/FOC-YF127 10mm

図9:結露防止のため、銅管の保温材と継手の保温カバーは断熱テープを巻いてください

室外機にユニオン: フレア×ワンタッチ接続の最適解

室外機などのフレアねじへの接続に対応した「エフ-1のユニオン」は、フレア×ワンタッチの接続継手として最適です。この継手には10㎜厚の保温カバーも同梱されております。
「エフ-1」のユニオンは、室外機などのフレアねじへの接続に最適なフレア×ワンタッチ接続継手として設計されています。さらに、この継手には10㎜厚の保温カバーも付属しています。

室外機など機器との接続に便利な「ユニオン(品番:FOC-YF635)」1個から当日出荷します!

室外機など機器との接続に便利な「ユニオン(品番:FOC-YF635)」1個から受注当日出荷しております!

品番 適合銅管外径 L A B C
FOC-YF635 6.35 53.5 22.5 28 17
FOC-YF952 9.52 57.5 25 28 22
FOC-YF127 12.7 62.5 28 28 26

図10:ユニオン

同径のエルボを新規ラインナップ

ご要望の多かったエルボを新規にラインナップしました。変形の恐れがある為、立管の最上部や最下部に使用しないでください。又、保温カバーは付属していないので現地で保温処置をしてください。

エフ-1 エルボは1個から受注可能ですが、翌々日の出荷となります。

品番 適合銅管外径 L A B
FOC-E2222 22.22 53.5 22.5 28
FOC-E2540 25.40 57.5 25 28
FOC-E2858 28.58 62.5 28 28

図11:エルボ

「エフ-1」継手施工の鍵は、冷媒用銅管の端面仕上げ

「エフ-1」を接続する際の最も重要なステップは、冷媒用銅管の外面仕上げです。この工程が適切に行われないと、施工性が低下するだけでなく、シール不良からガスの漏れのリスクが高まります。特に、面取り作業は非常に重要であり、十分かつ丁寧に実施することが求められます。そのため、多くのリーマの中でも「エフ-1」の製造メーカー、株式会社タブチが推奨する「ユニバーサルリーマ(品番:R11006X)」を使用することを強く推奨します。施工の際は、このリーマを手元に準備して作業を行ってください。

銅管内面のバリ取りと外面の面取りには「ユニバーサルリーマ(品番:R11006X)」

「ユニバーサルリーマ(品番:R11006X)」1個から受注当日出荷しております!

品番 適合銅管サイズ
R11006X φ6~φ35㎜

図12:Oリングシールのワンタッチ継手は、肉厚の半分程度を目安に十分かつ丁寧な面仕上げが肝です。

大口径の面取りには電動ドリル用パイプリーマ

「電動ドリル装着型大口径リーマー(品番:REG10-54E)」は1個から出荷します。

品番 適合銅管サイズ
REG10-54E φ12.7~φ53.98
銅管接続部の楕円矯正には「矯正工具」

エフー1 矯正工具は1個から受注、当日出荷します。

品番 適合銅管外径
FOTW-23 6.35/9.52用
FOTW-24 6.35/12.7用
FOTW-35 9.52/15.88用
FOTW-6 19.05用

図13:冷媒の漏洩防止、銅管の抜け防止ともに、真円出しが欠かせません

「エフ-1」を正しく接続するための鍵は、継手に挿入する銅管の形状を「真円」にすることです。楕円状の銅管は適切な接続を阻害するため、専用の矯正工具を使用して形状を修正することが必要です。正確な楕円矯正を行うことで、安全で確実な接続を保証します。

接続部の銅管寸法の確認には「標線ゲージ」

「冷媒銅管用ワンタッチ継手エフ-1用 標線ゲージ(品番:FOG-S)」銅管サイズ6.35、9.52、12.7、15.88、19.05、22.22、25.40、28.58、31.75、38.10の各サイズと、6.35から15.88までのセット品設定があります。

品番 適合銅管外径 内容
FOG-S 6.35~15.88用 6.35~15.88のセット
FOG-2 6.35用 単体
FOG-3 9.52用 単体
FOG-4 12.7用 単体
FOG-5 15.88用 単体
FOG-6 19.05用 単体
FOG-7 22.22用 単体
FOG-10 25.40用 単体
FOG-11 28.58用 単体
FOG-12 31.75用 単体
FOG-14 38.10用 単体

 

図14:標線ゲージは施工後に第三者が目視確認できるよう2本引くのがミソ。使用するペンは銅管に影響を及ぼさない専用品を用意しておりますが、それ以外にも市販品で使えるマーカーもございます。

標線ゲージは、銅管と継手の正確な接続を検証するための特別なツールです。使用方法はシンプルで、次の手順に従ってください。

  1. 銅管を標線ゲージに通します。
  2. 管端面がゲージの確認窓内の目安面に触れていることを確かめます。
  3. 確認ができたら、指定された油性マジックを使用して銅管に2本の標線を描きます。

このマーキングを行うことで、銅管が継手内で正しく位置していることが一目瞭然となり、安全かつ確実な接続を保証します。

まとめ

冷媒銅管用ワンタッチ継手「エフ-1」は、冷媒配管工事の作業時間を約40%削減できる優れた継手です。火を使用しない継手のため、火災のリスクを排除し、防炎シートやバーナー、その他のロウ付け工具も必要なくなります。さらに、ダブルスパナを使った締め込み工程も不要なので、天井裏などの狭い場所でも、誰が施工しても一貫した高品質な仕上がりを実現できます。ベストパーツでは、株式会社タブチと共に施工認定講習会を開催しています。講習のお申し込みはベストパーツオンラインで受け付けておりますので、この機会にぜひご利用ください。
※本稿は2020年11月9日に初公開されました。その後、アイテムの追加、JCDA認証、ソケット規格の拡充などにより複数回更新が行われており、最新の更新は2023年11月2日に行われ、保温材単品とエルボが追加されました。

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室橋尚哉

1989年ベストパーツ株式会社(旧東北綜合器材株式会社)入社。分類は空調換気を担当。1963年生まれ。
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