追い焚き配管をペアチューブで施工する際に、知っておきたい特性と最適な選び方!
場面によって最適な追い焚き配管の種類が違う
在庫管理や施工品質平準化の観点から、追い焚き配管の種類を1つに絞ることも間違いではありません。一方で、新築とリフォーム、戸建とマンションといった建築の区分や用途、ガス、電気、石油などの熱源の種類など、シチュエーションによって最適な配管種も変わってくることはご存じでしょうか?施工性やコストなども考慮に入れながら、最適な追い焚き配管を選びましょう。
追い焚き配管に使うペアチューブの種類と選定のポイント
現在、市場に流通している追い焚き配管は、「ゴムやPVCなどのホース系」「架橋ポリエチレンパイプなどの樹脂管系」「銅管などの金属管系」の3つに分けられます。その中でも、接続のしやすさや取り回しの良さなどから人気の高い「ゴムやPVCなどのホース系」と継手が豊富な「架橋ポリエチレンパイプなどの樹脂管系」にフォーカスして、それぞれのメリットや選定のポイントについてご説明していきます。
軽量で施工性抜群の「スマートホース」
樹脂(PVC)製の「スマートホース」は、架橋ポリエチレンパイプに比べて圧倒的に柔軟であり、ハイブリッドホースよりも軽量で取り回しが容易です。また、コスト面でも競争力があるため、新築のアパート物件など、10世帯程度で工期が短く、あまりコストをかけられない現場におすすめです。
ちなみに、内径13㎜のSMH-420およびSMH-410は、内径10㎜仕様よりもお湯張りや追い焚きにかかる時間が短くなります。予算が許すのであれば、13㎜仕様を選ぶことを推奨します。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 基準価格 |
SMH-320 | 20m | 16.0㎜ | 10.0㎜ | R100 | 0℃~80℃ | ¥13,800 |
SMH-310 | 10m | 16.0㎜ | 10.0㎜ | R100 | 0℃~80℃ | ¥8,880 |
SMH-420 | 20m | 22.0㎜ | 13.0㎜ | R120 | 0℃~80℃ | ¥16,500 |
SMH-410 | 10m | 22.0㎜ | 13.0㎜ | R120 | 0℃~80℃ | ¥10,300 |
※2024年6月時点での基準価格です。
スマートホースのお手頃価格バージョン「スマートホースPlus」
上記「スマートホース」をさらにお求めやすい価格にしたのがこの「スマートホースPlus(品番:SMHP-420)」です。材質はPVC樹脂なのでスマートホースと同じですが、その配合を変えることで流体温度を0℃~65℃と低めに設定し、価格を抑えることに成功しました。ただし上限温度が65℃ですので高温差し湯式の給湯器には使用できません。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 基準価格 |
SMHP-420 | 20m | 22.0㎜ | 13.2㎜ | R120 | 0℃~65℃ | ¥13,800 |
※2024年6月時点での基準価格です。
高い信頼性と優れた施工性の「ハイブリッドホース」
1998年の発売以来、ほとんどの給湯器メーカーが純正採用している「ハイブリッドホース(品番:BJH-420)」は、その柔軟さとタケノコ式という接続のしやすさから、一般戸建住宅を中心に長年親しまれている追い焚き専用のホースです。内層が特殊EPDMゴムでできており、使用温度範囲が0℃~90℃までと広く、出湯温度が80℃を超えるような高温さし湯式給湯器にも使用可能です。
柔軟性が高く、耐水性・耐オゾン性・耐候性・電気絶縁性に優れ、物性的に安定しているため、水回りでのゴムの利用が広がっています。しかし、石油の副産物から合成されるゴムのため、原油価格の影響を受けやすく、PVCへの置き換えを進める業者も増えています。それでも、長期間使用する可能性が高く、次回の給湯器交換でどんなタイプが入るかわからない一般戸建住宅にはオススメです。
ただし、エコキュートに関しては、追い焚き配管の伸縮や振動によりエラーが発生する恐れがあるため、柔軟性の高いホース系の配管材料は避けた方が無難です。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 基準価格 |
BJH-420 | 20m | 23.0㎜ | 13.0㎜ | R120 | 0℃~90℃ | ¥30,400 |
※2024年6月時点での基準価格です。
ラインナップ充実の架橋ポリエチレンパイプ
新築戸建からマンション改修まで、架橋ポリエチレンパイプなら豊富なラインナップでどんな現場にも対応することができます。接続もソフトタイプの架橋ポリエチレンパイプであればタケノコ継手が使えるので、トータルで見ればコスパにも優れています。関連のユニットバス貫通部材や壁貫通部材、更にはワンタッチ式の循環金具など、使える周辺部材も非常に充実しているのも大きなメリットです。ただし、曲げ半径が大きく(R150以上)巻きグセも強いため、一人では取り回しにくい点に注意が必要です。よって、先行配管が可能な新築現場や、関連部材の使い方に精通した職人の方にオススメします。
ガス熱源機での追い焚き配管なら「高断熱ペアチューブ(品番:UPT-10N-I)」
高気密・高断熱住宅にも対応するのが往き戻り2本のパイプを1本の断熱材で包んだ架橋ポリエチレンパイプ「高断熱エクセルパイプコア(品番:UPT-10N-I)」です。断熱材付きタイプでは外径がφ45.5と最も小さく、基礎もしくは壁貫通穴径が小さくできることがメリットです。新築戸建のガス熱源機採用住宅では、現在このタイプの採用が劇的に増えています。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 断熱材厚み | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 基準価格 |
UPT-10N-I | 50m | 13.0㎜ | 10.0㎜ | 8㎜ | R150 | 0℃~80℃ | ¥28,800 |
※2024年6月時点での基準価格です。
エコキュートの追い焚き配管には「エクセルペアチューブ 保温材付」
エコキュートの追い焚き配管は、メーカー各社で往き戻りの熱交換が発生しない形状の13Aの「エクセルペアチューブ保温材付(品番:XLS-13HON10W)」を推奨しています。給湯器がエコキュートの場合、追い焚き配管はこちらをご選定ください。継手は13Aのタイプにも拘らず、ワンタッチタイプのほかにタケノコ式が用意されているのがポイントです。
品番 | 全長 | 外径 | 内径 | 断熱材厚み | 最小曲げ半径 | 流体温度 | 基準価格 |
XLS-13HON10W | 25m | 17㎜ | 13㎜ | 10㎜ | R150 | 0~80℃ | ¥22,300 |
XLS-10HON10W | 25m | 13㎜ | 10㎜ | 10㎜ | R150 | 0~80℃ | ¥20,300 |
※2024年6月時点での基準価格です。
まとめ
数ある追い焚き配管の中で最適な商品を選定するポイントは、現場の状況によって異なります。アパートなど短時間でコストをかけずに行う場合は、PVC製の「スマートホース」や「スマートホースPlus(品番:SMHP-420)」をオススメします。戸建ての入替や出湯温度が80℃以上の機種を選定した場合は、特殊EPDM製の「ハイブリッドホース(品番:BJH-420)」が適しています。新築の戸建て住宅の場合は、架橋ポリエチレン製のパイプに高気密・高断熱に対応した断熱材を施した「高断熱エクセルパイプコア(品番:UPT-10N-I)」をオススメします。
なお、エコキュートに関しては、振動の影響を受けにくく、往きと戻りの間で熱交換が発生しない「エクセルペアチューブ保温材付(品番:XLS-13HON10W)」が最適です。
※2020年8月25日に公開した内容に新商品を加えて再構成し、2024年6月7日に再度公開しました。
寺島 佳希
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